村上陽一郎*1「スポーツに食い込む政治」『毎日新聞』2020年6月6日
吉見俊哉*2『五輪と戦後 上演としての東京オリンピック』の書評。
この書は、結局、スポーツの祭典であるオリンピックが、人間社会の制度のなかに組み込まれたときに、どのように変質し、どのように人間性まで変える働きをしてきたのか、その現実を丹念に掘り起こした労作である。特に人間社会の制度のなかでも、最も「非人間的」であるがうえに、これほど「人間的」なものはないと思われる政治が、どのようにオリンピックを頂点とするスポーツの世界に、食い込んできたのかが、鮮やかに浮き彫りにされる。
(前略)入場者のセレモニーで、国旗掲揚と国歌演奏とが必ず付随すること自体、すでにスポーツの理念からは、とんでもなく逸脱している。評子の個人的な感想で、奇矯に聞こえるかもしれないが、音楽の演奏家のコンクールには、国旗も国歌もまるで無縁である。メディアが「日本の」を振りかざして入賞者数を報じることはあるが、そこまでにとどまっている。スポーツも、それで済ますことはできないか、と考えたりする。
*1:See also http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20050526 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20060919/1158671904 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20091129/1259488849 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20150302/1425270419 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20150309/1425874074 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20160326/1458962786 https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/20170113/1484283206 https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/2019/04/05/231909 https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/2020/03/05/095250 https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/2021/02/09/112028
*2:See also http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20060309/1141872655 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20061115/1163563186 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20070707/1183826720 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20080926/1222407806 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20090225/1235533007 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20100105/1262664650 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20110120/1295532154 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20111024/1319416350 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20140912/1410454868 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20160804/1470285604 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20180414/1523710799 https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/20180427/1524801898 https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/20180806/1533486793 https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/2020/02/10/015428