『鍵』と『瘋癲』見つからず

細雪(上) (新潮文庫)

細雪(上) (新潮文庫)

細雪(中) (新潮文庫)

細雪(中) (新潮文庫)

細雪 (下) (新潮文庫)

細雪 (下) (新潮文庫)

神戸新聞』の記事;

2020/11/4 05:30神戸新聞NEXT

文豪・谷崎潤一郎の発禁作品を紹介 芦屋で特別展


 デビュー時は過激な筆致から「異端児」とも呼ばれた文豪谷崎潤一郎(1886~1965年)の発禁処分となった作品を紹介する特別展「タブー-発禁の誘惑-」が、兵庫県芦屋市伊勢町の谷崎潤一郎記念館*1で開かれている*2。当局の意向に配慮して修正した「細雪*3の原稿や官能的な挿絵など関連資料約100点が並ぶ。

 作家としてのキャリアが半世紀を超える谷崎。明治末期から戦後まで、激動する社会情勢のさなかに作品を送り出してきた。同館学芸員の井上勝博さん(58)は「性的で不道徳な描写だとする世間の常識をかいくぐってきた」と説明する。

 1943(昭和18)年、女性たちの平穏で豊かな市民生活を描いた細雪は「軟弱で戦争を傍観している」などと軍部から反感を買い、連載を自粛する事実上の発禁に。会場には雑誌の掲載中止を知らせる「お断り」が展示されている。

 戦後は老人の性を取り上げた「鍵」が国会で問題になるなど物議を醸した。しかし、同じテーマで挑んだ数年後の「瘋癲(ふうてん)老人日記」は洗練された筆致から不問に。井上さんは「タブーと向き合うことで文学者としてのレベルを高めていった」と話す。

 特別展は12月6日まで。月曜休館。一般500円、大学・高校生400円、中学生以下は無料。芦屋市谷崎潤一郎記念館TEL(略)

(名倉あかり)
https://www.kobe-np.co.jp/news/hanshin/202011/0013837258.shtml

この記事に刺戟されたというわけではないのだけど、『鍵』と『瘋癲老人日記』を買おうと思って、本屋に出かけたけれど、なかった。中公文庫も新潮文庫も。新潮文庫の方は『鍵』と『瘋癲老人日記』が1冊に収まっていて、経済的には断然お得なのだけど、美的にはやはり棟方志功の版画を使った中公文庫の方ということになる。