「お春どん」の店

京都新聞』の記事;


谷崎ゆかりの書店、閉店へ 京大前で70年の春琴堂


 作家谷崎潤一郎*1ゆかりの書店として京都大前で70年間営業を続けてきた「春琴堂書店」(京都市左京区東大路通東一条西南角)が3月末で閉店する。店主の高齢化とインターネット販売の普及で学生の客足が遠のいたためといい、京都の歴史を物語る新刊書店が幕を閉じる。

 店主の久保昭さん(82)と妻幸子さん(76)、長男浩さん(52)の親子3人が営業している。売り上げ減に伴い、1階を不動産業者に貸し、一角で文庫本や雑誌などを販売してきた。奥には谷崎の書「春琴書店」を収めた額を掲げている。

 同店によると、昭さんの両親が1948(昭和23)年に現在の店近くで開業した。開業前に両親が、関西に移ってきた谷崎家で働いたことがあり、母一枝さんは小説「細雪」にお手伝いさんの「お春どん」として登場することでも知られる。店名は谷崎が小説「春琴抄」にちなんで命名し、書を寄せたという。

 昭さんは高校生ぐらいの時、店を訪れた谷崎と一度だけ会ったことがあるといい、「父親に紹介されてあいさつをしようとしたら先に『谷崎です』と丁寧に頭を下げてくれたことが印象深い」と振り返る。

 のちに、現在の場所にあった一戸建てに移転し、30年ほど前に3階建てビルに建て替えた。当初は1、2階で単行本や参考書など幅広い書籍を扱った。学生だけでなく、近くにあった京大人文科学研究所や医学部の教員が専門以外の本を買い求めに来店したが、徐々に客足が遠のいたという。

 春琴堂書店の閉店で京大周辺から新刊書店がなくなる。昭さんは「残念だが仕方ない。先生の書は大切に保管したい」と話した。

【 2018年03月07日 11時40分 】
http://kyoto-np.jp/sightseeing/article/20180307000059

細雪 (上) (新潮文庫)

細雪 (上) (新潮文庫)

細雪 (中) (新潮文庫)

細雪 (中) (新潮文庫)

細雪 (下) (新潮文庫)

細雪 (下) (新潮文庫)

春琴抄 (新潮文庫)

春琴抄 (新潮文庫)

関東大震災がなければ谷崎が関西に移住することもなく、「春琴堂書店」が開店することもなかったのかも知れない。
ところで、「1階を不動産業者に貸し」ていたということなのだけど、それによってさらに客足が遠のくことになったのかも知れない。京都ではないけれど、子どもの頃から知っている、つまり既に半世紀は営業が続いている本屋があるのだけど、やはり数年前から1階部分をほかの店に貸し出して、本屋の営業は2階部分で細々とやるようになった*2。狭い階段を上っていくのは、本を買うぞという気合が入った人のみで、買い物帰りとか通勤帰りの人は、外から1階部分の様子がちらっと見えるなら、ちょっと寄ってみようかということになるかも知れないけれど、わざわざ階段は上らないだろう。サブカルとかアートとか政治(左翼)とかに特化するならともかく、普通の〈街の本屋さん〉としては致命的なことだよ。
さて、京都と言えば、

交差点でこたつ囲んで鍋 男女4人組、京大内へ消える
2018年3月8日19時01分


 京都大近くの京都市左京区百万遍交差点の真ん中で2月25日夕、若い男女4人組がこたつを囲んで鍋をしていたことが、京都府警への取材でわかった。110番通報を受け署員が駆けつけると、名乗らずに京大内へ消えた。車の通行量が多い交差点での愚行で、府警は道路交通法違反(道路における禁止行為)容疑で捜査している。

 下鴨署によると、交差点でこたつを囲んでいたのは約10分間で、うち1人は拡声機を手に大声を出していた。署員が注意すると少し争う姿勢をみせたが、間もなくこたつをリヤカーに乗せて立ち去った。大事故につながりかねない危険な行為とみて、身元の特定を進めている。

 京大ではこの日、2次試験があり、約7600人が受験していた。広報課は「京大の学生かはわからない。警察の捜査を待ちたい」と話す。
https://www.asahi.com/articles/ASL385WBCL38PLZB00W.html

記事に添えられた写真を見ると、赤ヘルメットと黒ヘルメットを被っている。京都大学に白ヘルメット(中核派)が棲息しているのは知っていたが*3、赤や黒も棲息しているんだという生態学的発見。