承前*1
小田実が谷崎潤一郎の『細雪』の主人公たちは「生まれてきたときから現在までの間に、根本的な変革はな」く、「過去というものは、現在の延長としてみており、未来は現在を拡大した形で見ている」と述べていたことをメモした(「革命を語る」、p.19)。これって、この数十年後に宮台真司が言った「終わりなき日常」*2と同じなのかなと思った。それにつられてか、積んであった宮台真司、藤井良樹、中森明夫『新世紀のリアル』(飛鳥新社、1997)を一気読みしてしまった。1990年代の宮台真司というのは(良きにつけ悪しきにつけ)迫力があったということはいえる。
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ぼくが社会主義にあまり魅力ないのは、みんな一つしかないからだね。党は一つやろ、新聞も一つ、その新聞も党やろ。銀行も一つ、みんな一つやろ。なんも出来なくなるね、にらまれたら。資本主義社会というのは、前提として人間は悪いことをするというものの上にある。社会主義社会は人間は神様であるという前提に立っとるよ。あるいは神様になるもんであると。たとえば党が一つであっても官僚化しないと、この人は立派な人であるからしないというのがあるね。それから新聞でもちゃんとした、民衆のためになることを書く。そういうことを決めてある。ところがそういうふうにはなっとらんわけよ。資本主義で言えば、そういうものはやたらとあるわけだ。つまり権力で駄目なら金の力で行けという田中角栄みたいな小学校しか出てへん奴でも出世したりしてね。こういうことがいくらでも出来るようになっとるわけだ。金がなければ、ビラをまくとか、デモ行進をするとか、いろいろあるわけだ。それも抑圧されれば話は別だけど。長崎が駄目なら江戸で行けというように民衆は動けるわけよ。あっちが駄目ならこっち、押して駄目なら引いてみようという余地があるわな。それが社会主義社会では一切ゼロでさ。なんかやれば人民の敵と規定されて、これはしんどいよね。そいう気がする。(pp.289-290)
*1:http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20120316/1331915706
*2:See also http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20060121/1137869912 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20060325/1143294861 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20070202/1170441629 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20070704/1183564169 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20071027/1193510497 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20110630/1309460207 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20110901/1314899481