既に全国区?

Via https://nessko.hatenadiary.jp/entry/2020/08/14/190722

「コロナ収束願い「ヨゲンノトリ」 牟礼の道の駅、バッジ販売」https://www.coolkagawa.jp/news/entry-1398.html


香川県高松市の或る道の駅で「江戸末期にコレラの流行を予言したとされる「ヨゲンノトリ」を描いた木札と缶バッジの販売」が始まったということなのだが、この「ヨゲンノトリは、山梨県立博物館が紹介した頭が二つある鳥で、拝めば疫病が収まるとされている妖怪」。「「アマビエ」*1グッズに続く第2弾」だそうな。
その起源は山梨県だが、既に全国区的な「妖怪」になっているのか。ちょっと調べたら、既に4月か5月には新聞に取り上げられていたのだった。
『読売新聞』の記事;


アマビエに続け、「ヨゲンノトリ」がネットで反響
2020/04/16 21:28
新型コロナ


 新型コロナウイルスの感染拡大の中、山梨県立博物館(同県笛吹市)がツイッターで発信した江戸時代末期にコレラ流行を予言したとされる「ヨゲンノトリ」が話題を呼んでいる。「私の姿を朝夕に拝めば難を逃れることができるぞ」と語ったといい、ネット上では「今日から拝みます」などと大きな反響となっている。


 ヨゲンノトリは、当時流行していたコレラの様子を市川村(現山梨市)の村役人・喜左衛門が記した同館所蔵の「暴瀉しゃ病流行日記」(1858年)に登場する。カラスのような黒い鳥だが、二つの頭があり、一つは白色。日記には「鳥は去年の12月に加賀国(現石川県)に現れ、『来年の8、9月のころ、世の中の人が9割方死ぬという難が起きる』と言った」などと書かれている。

 同館の中野賢治学芸員(40)が江戸時代に病の流行を封じると信じられていた妖怪「アマビエ」がSNSで話題になっているのを知り、館内の所蔵品に似たようなものがないか調べて見つけた。「コロナへの不安を少しでも和らげることができたら」と、3日に「ヨゲンノトリ」と名付けて公開した。

 同館のツイッターのページは現在、1万件以上の「いいね」を獲得。同館では10日、反響の大きさからホームページに特設コーナーを開設した。中野さんは「反響には驚いている。今後も過去の人たちが疫病にどう立ち向かっていったかを発信していきたい」と話している。
https://www.yomiuri.co.jp/national/20200415-OYT1T50241/

また、『朝日新聞』;

「世の9割死ぬ」 幕末にコレラ予言?ヨゲンノトリとは
新型コロナウイルス

永沼仁

2020年5月6日 10時09分



 山梨県立博物館笛吹市)がSNSで紹介した不思議な鳥の絵「ヨゲンノトリ」が話題を呼んでいる。コレラが流行した幕末に描かれたが、新型コロナウイルスの感染が広がる今、「疫病よけ」の商品に利用する動きも広がっている。

 ヨゲンノトリは、旧市川村(現山梨市)の名主の喜左衛門が、1858(安政5)年に記した「暴瀉病流行(ぼうしゃびょうりゅうこう)日記」に描かれた頭が二つある鳥の絵だ。

 説明書き(現代語訳)には「来年の8月・9月のころ、世の中の人が9割方死ぬという難が起こる。それについて、我らの姿を朝夕に仰ぎ、信心するものは必ずその難を逃れることができるであろう」と記されている。

 企画展で何度か展示してきた史料だが、感染症の拡大で休館する中、中野賢治学芸員ツイッターで紹介することを思いついた。4月3日に投稿すると1万件を超す「いいね」が寄せられ、ホームページ(HP)でも紹介を始めた。

 画像の私的な利用は自由。携帯の待ち受け画面にしたり、コピーして「感染よけ」に使ったりする人も多い。商業利用の問い合わせも50件ほど寄せられている。県内の事業所なら無料。お札やキーホルダー、衣料品や酒のラベルなどに使われる例があるという。

 日記には、長崎で発生したコレラが江戸から山梨に広がり、1日に30~40人もの人が亡くなり、甲府で683人の死者が出たことが記されている。寺社では病魔退散を祈る祈禱(きとう)や祭礼が盛んに行われたことも紹介されている。

 中野学芸員は「未知の病、疫病に対する不安は、今の状況と重なるところが多い。昔の史料を通して、病との向き合い方を学んでほしい」と話す。当面はHP上で公開を続ける。(永沼仁)
https://www.asahi.com/articles/ASN5602J7N4JUZOB00V.html

ところで、「暴瀉病」(猛烈な下痢)ときわめて的確に記述されている「コレラ」は元々印度ベンガル地方の風土病だった。阿片戦争の際の英国軍の主力は実は印度人だったが、コレラは英国軍を通じて中国に上陸し、さらに日本にも伝わった(飯島渉『感染症の中国史』)。