Mistaken

香川雅信「予言するモンスターたち――アマビエ、人魚、件、そして」https://kadobun.jp/feature/readings/4hlpdojjrs4k.html


そうか! 文政年間に越中立山に出現したという「くだべ」*1は「クダン」の写し間違えだったのね! そして、「アマビエ」も「アマビコ」*2の「コ」が「エ」と書き間違えられたことによって生まれた。

(前略)「アマビエ」の名前を伝える資料は京都大学附属図書館所蔵の摺物1点のみだが、実はこれは「伝言ゲームの最終段階」と言うべきもので、本来この妖怪は「アマビエ」ではなく「アマビコ」という名前であったと考えられるのである。というのは、「アマビコ(海彦、天彦、尼彦)」について記した資料は数多く確認できるからである。おそらくは、カタカナの「コ」を「エ」と読み間違えたのであろう。また、「アマビコ」は本来、3本足の猿の姿で描かれていたが、それが次々と描き写されるうちに、人魚のような姿になってしまったものと推測される(海中から現れたという部分に引きつけられたのだろう)。

「コロナ禍」ならぬ「コロナ渦」とか「コロナ鍋」といった書き間違え*3というのはもしかして、たんなる間違いではなくて、言霊の霊力を増強する操作なのかも知れぬ*4
また、同じく「予言するモンスター」である「神社姫」;

(前略)文政2年(1819)には、肥前国佐賀県長崎県)の浜辺に竜宮からの使いと称する「神社姫」が現れ、当年より7年の間は豊作だが、「コロリ」という病が流行する、これを逃れるには我が姿を絵に写して人に見せよ、と告げて去っていったとされる。「コロリ」は後にコレラを指す名称となるが、この時点ではまだ日本にコレラは渡来していないので、別の病気(おそらく赤痢)と思われる。「神社姫」は、美女の顔に竜の胴体で、剣の尾を持つ怪物として描かれているが、やがてこれは「人魚」であった、ということになり、人魚のミイラの見世物や、人魚をかたどった土人形が「コロリ」除けとしてもてはやされた。