相関関係なし

Via https://nessko.hatenadiary.jp/entry/2019/06/27/191138

産経新聞』の記事;


「深海魚は地震の前兆」は迷信 東海大調査
2019.6.26 18:55ライフ科学


 普段は姿を見せない深海魚が海岸に漂着したり、漁網にかかったりして出現すると大きな地震が起きるという言い伝えは、統計的にみて迷信だと断定する研究結果を東海大静岡県立大の研究チームが論文にまとめ、26日発表した。

 この言い伝えは、1743年に刊行された江戸時代の奇談集「諸国里人(りじん)談」にも記録されており、古くからよく知られている。科学的に事実なら、防災に役立つとみて検証した。

 昭和3年から東日本大震災が起きた平成23年までの間に、地震の前兆といわれる「リュウグウノツカイ」など8種の深海魚が出現した事例を調査。学術文献や新聞に掲載された336件について、30日以内に半径100キロ以内でマグニチュード(M)6以上の地震が起きたかどうか調べた。

 その結果、該当したのは新潟県の沖合で深海魚が漁網にかかってから約1カ月後に起きた19年の新潟県中越沖地震(M6・8)だけだった。このため深海魚の出現と地震の発生に統計的な関連はなく、伝承は迷信だと結論づけた。

 静岡県立大の鴨川仁(まさし)特任准教授(地球電磁気学)は「この伝承は誤った情報だと分かった。深海魚が現れても冷静に受け止めてほしい」と話している。
https://www.sankei.com/life/news/190626/lif1906260034-n1.html

所謂〈宏観現象〉のひとつ。地上では鼠が逃げ出したとか、空中では変な雲が出たとか*1。さらっと、相関関係は全然ないと言えばいいのであって、「迷信」という強い言葉を使う必要があったのかどうかはわからない。
「深海魚」と「地震」との関係が「迷信」だということが広く定着したら、深海魚の出現は次にどのような意味を要求するのだろうか。
「普段は姿を見せない」というように深海魚の出現はレアな出来事であるだろう。常とは違うレアな出来事はそれに見合った意味が要求される。レアな出来事が意味も補填されないまま放置されると、人々には不安感を伴った不快を喚起し、意味システムにも危機をもたらす可能性がある。自然現象ではなく社会的事件であるけど、例えば川崎で起こった50代の男が小学生を襲撃し・自らも自殺してしまったという事件*2。残酷な事件にも拘わらず、犯人の動機などは一切解明されていない。殺人というレアな出来事なのに、その意味は空白のまま放置されている。事件や容疑者を巡っては、様々な憶測がある。それらを、トンデモだとか嘲笑するのは容易いのだろうけど、それらが出来事と意味、或いはシニフィアンシニフィエの間の不均衡に対する反応であることは忘れるべきではない。
「深海魚」に話を戻せば、「迷信」をちゃんと克服しようと思うのなら、たんに「深海魚」と「地震」との相関関係を否定するだけではなく、深海魚出現のメカニズムを、「地震」以外のファクターを使って説得的に説明する必要があるだろう。