「大人版」

橘玲*1「日本人の3分の1は日本語が読めない?」https://news.yahoo.co.jp/byline/tachibanaakira/20190128-00112452/


PISA*2の「大人版」で「16歳から65歳の成人を対象として、仕事に必要な読解力、数的思考能力、ITを活用した問題解決能力を測定」するPIAAC(Programme for the International Assessment of Adult Competencies)*3を巡って。


このテストは日本でも行なわれていて、その結果*4をまとめると以下のようになります。

日本人のおよそ3分の1は日本語が読めない。
日本人の3分の1以上が小学校3~4年生の数的思考力しかない。
パソコンを使った基本的な仕事ができる日本人は1割以下しかいない。
65歳以下の日本の労働力人口のうち、3人に1人がそもそもパソコンを使えない。
「そんなバカな!」と思うでしょうが、これはAI(人工知能)に東大の入学試験を受けさせる「東ロボくん」で知られる新井紀子氏が、全国2万5000人の中高生の「基礎的読解力」を調査し、3人に1人がかんたんな問題文が読めないと指摘したことと整合的です(『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』東洋経済新報社*5)。これを疑わしいと感じるのは、あなたが知能が高いひとたちの集団のなかで生活しているからにすぎません。

さらに驚くのは、日本人の成績がこんなに悪いにもかかわらず、先進国のなかでほぼすべての分野で1位であることです。だったら他の国はどうなっているのかというと、平均は次のようになります。


先進国の成人の約半分(48.8%)はかんたんな文章が読めない。
先進国の成人の半分以上(52%)は小学校3~4年生の数的思考力しかない。
先進国の成人のうち、パソコンを使った基本的な仕事ができるのは20人に1人(5.8%)しかいない。
さらに、

ヨーロッパの国を見ると、PIAACの結果は南が低く北に行くほど高くなります。ユーロ危機のときにPIGSポルトガル、イタリア、ギリシア、スペイン)と呼ばれ、財政が悪化し失業率が高く、右派や左派のポピュリズムに翻弄される「南」に対して、北欧など得点の高い国は、排外主義的な政党が勢力を伸ばしてはいるものの失業率は低く社会は安定しています。
まあそういうもんなんでしょうね。ジェンダーとか階層(階級)という変数を考慮すれば、もっと興味深い結果が出るように思える。