Labor power/brain power

野矢茂樹*1「書評:新井紀子『AIvs.教科書が読めない子どもたち』」http://book.asahi.com/reviews/reviewer/2018041400004.html


新井紀子*2『AIvs.教科書が読めない子どもたち』という本の書評。この書評を読みながら、1960年代に書かれたハンナ・アレントの言葉を思い出した。


(前略)電子頭脳は、他のすべての機械と同じように、人間の仕事を人間よりも巧みにしかも人間より早く*3処理する能力を具えている。電子頭脳が、労働力ではなく人間の頭脳の力を補完し拡張している事実は、チェッカーやチェスをうまく指すのに必要な「知能」と人間の精神とは別であることをわきまえている人びとにとっては、困惑とはならない。実際この事実は、労働力と頭脳の力が同一のカテゴリーに属すること、またわれわれが知能と呼びIQによって測定できるものは、人間の精神にとって必須の条件である点を除けば、人間の精神とはほとんど無関係であることを証明するにすぎない。(後略)(「宇宙空間の征服と人間の身の丈」 in 『過去と未来の間』*4(引田隆也、齋藤純一訳)、pp.366-367[“The Conquest of Space and the Stature of Man” in Between Past and Future, p.264])
過去と未来の間――政治思想への8試論

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Between Past and Future (Penguin Classics)

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