無文字社会では?

山崎春奈*1「漢字が書けるのは“当たり前”じゃない。「読み書き障害」と戦う親子の物語」https://www.buzzfeed.com/jp/harunayamazaki/uchinoko?


千葉リョウコ『うちの子は字が書けない』という本*2について。「小学6年生で発達性ディスレクシアであることがわかったフユくんと家族の奮闘の日々を描いたコミックエッセイ」。
ところで、「ディスレクシア」が問題になるのは、文字というものが存在し、尚且つその大人のメンバーは読み書きができることを要請されているような社会であろう。21世紀においては、地球上の殆どの社会はそのような社会になっているといえるのだろうけど、文字というものが存在しない無文字社会、或いは文字は一応あっても読み書き(しない)できないことがノーマルであるような社会では「ディスレクシア」が問題になることは不可能であると考えられる。しかし、現代社会でなら「ディスレクシア」を発症するような脳のあり方をした個人は無文字社会でも一定の割合でいた筈だ。文字の出現が人間の脳のあり方を変えてしまったということは聞いたことがない。無文字社会に生まれた、「ディスレクシア」の素質を持った個人はどのような生き方をしたのだろうかということが、不図気になった。

榊原洋一「「ディスレクシア(発達性読み書き障害)」とは?」*3によれば、


ディスレクシアは、知的発達に遅れはありませんが、文字の読み書きが苦手で、教科書を読んだり、ノートをとったりするのがうまくできません。日本では、人口の2〜3%*4に見られると報告されています。

ディスレクシアの人は、なぜ文字の読み書きが苦手なのでしょうか。原因として、文字の意味をとらえる脳の部位の活動が低下していることがわかっています。
たとえば、黒板に書かれた「さかな」という文字を見れば、多くの人は「魚」のイメージが瞬時に頭に浮かぶと思います。一方、ディスレクシアの場合は、「さ」「か」「な」というそれぞれの文字は読めても、それが「魚」のイメージに瞬時につながらないのです。反対に文字を書くとき、「『さかな』という字を書いて」と言われると、「魚」のイメージは浮かびますが、それが「さかな」という文字に結びつかない人もいます。機能が低下する部分は人によって異なります。

文字一つひとつは読めても、そこから意味を瞬時にイメージできないため、教科書のように長い文章が書かれたものを読ませると、スラスラ音読できず、通常の何倍も時間がかかってしまうことがあります。この障害の困難さを理解するのはなかなか難しいのですが、「カタカナで書かれた句読点のない文章を読む」感じだと思っていただけばよいでしょう。

See also


Wikipedia(English) https://en.wikipedia.org/wiki/Dyslexia
Wikipedia(日本語)https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%87%E3%82%A3%E3%82%B9%E3%83%AC%E3%82%AF%E3%82%B7%E3%82%A2
“Dyslexia: Symptoms and causes” https://www.mayoclinic.org/diseases-conditions/dyslexia/symptoms-causes/syc-20353552
“Dyslexia” https://ldaamerica.org/types-of-learning-disabilities/dyslexia/
国立成育医療研究センターディスレクシアhttps://www.ncchd.go.jp/hospital/sickness/children/007.html
南雲明彦「ディスレクシアとは?」https://nagumo-akihiko.com/dyslexia/
LD・Dyslexiaセンター http://square.umin.ac.jp/LDDX/index.html


ところで、10年前にディスレクシアに言及していた。英語話者と中国語話者におけるディスレクシアの差異。表音文字表意文字*5