「全国区」へ

承前*1

石渡嶺司*2至学館大学長のパワハラ会見を再検証〜守りの広報を考える」https://news.yahoo.co.jp/byline/ishiwatarireiji/20180430-00084665/


伊調馨に対する栄和人の「パワハラ」騒動、特にその過程での谷岡郁子学長の記者会見は、これまでは地元やレスリング関係者くらいしか注目していなかった至学館大学の名前を「全国区」に(悪い意味で)押し上げてしまった。私も、「至学館大学」の前身が「中京女子大学」だということくらいは知っていたけど、「中京大学」の女子部だったのだと思っていたのだった。しかし、「中京女子大学」と「中京大学」とは全くの別法人で、「共学化」する際に「女子」を取って「中京大学」にするわけにもいかず、「中京女子大学」のまま「共学化」されたのだという。まあ、「東京女子大学」が「東京大学」の女子部ではないというのと同じことか。「中京女子大学」のままの「共学化」は世間の理解を得られず、入試の競争率が1.1倍まで下がり、その結果「至学館大学」と改名したのだという*3。知らなかった。
この「会見」がもたらした悪しき「全国区」化の志望者(入試倍率)への影響が心配されて、「ネガティブな事件」の影響が小さい大学と大きい大学があることが示されている。前者の例としては、早稲田大学。2003年に「実刑判決」13人の「スーパーフリー事件」*4が起こった。翌2004年の早稲田の平均の入試倍率は前年の6.2倍から5.5倍へと落ちている。しかし、「その程度で済んだ」のだという。逆に、事件の影響をもろに受けた例として挙げられるのが、「東大阪大学」。申し訳ないのだけど、「東大阪大学」という校名も、2006年に起きたという「東大阪集団暴行殺人事件」も知らなかった。この大学は、事件の翌年から「長期低落傾向」に陥り、「2017年には一般入試・センター試験合わせても5人しか受験しない事態に」至ったのだという。また、山口県下関の「東亜大学*5が取り上げられている。「2002年に経営危機が朝日新聞で報じられ」、「1993年に7444人だった受験者数は2003年に537人、2013年276人、2017年83人(いずれも旺文社『蛍雪時代臨時増刊 大学案内号』の数値)にまで激減しています」。たしかに、すごい減りようだけど、果たして報道の効果だけで説明すべきものだろうか。データの示し方もおかしいよ。何故、1993年というかなり以前の数字を引っ張ってきているのに、報道直前の2002年や2001年の数字は示されないの? 報道の効果を云々するなら、それは必須じゃない?