この前〈零で割る〉問題で盛り上がったのは2013年のことだったか*1。
QuizKnock*2「小学生でもわかる「割り算で0で割ってはいけない」理由」http://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/1710/15/news005.html
まあこれはわかりやすいとは思うけれど、〈零で割る〉問題というのは小学生を〈無限〉に誘っていいのかどうかという問題だと思う。
さて、〈零で割る〉以前に「割り算」を如何に理解させるかという問題;
ここでさりげなく「手回し計算機」の原理が言及されている。しかしながら、「手回し計算機」というのは使ったこともないし、見たことさえない。私より少なくとも10は年上の団塊より上の先輩やえらい先生が、若い頃はタイガーの手回し計算機を使っていたものさ、と言うのは聞いたことがある。ということで、「手回し計算機」というのは(私にとって)縄文時代の土偶や弥生時代の銅鐸以上に謎の文物なのだった。
イメージから理解する「10÷5=?」という計算は「10個のりんごがあります。これを5人で分けたら、1人あたり何個のりんごがもらえますか」という文章題に置き換えることが可能です。
このように、ストーリーに置き換えると計算の意味が理解しやすくなります。
引き算から理解する
次は、引き算から理解する方法。「10÷5=?」を「10から5を何回引いたら、その数から5が引けなくなりますか」とする考え方です。
電卓が開発される前に使用されていた手回し計算機は、実際にこのような仕組みで割り算を行っていました。
かけ算から理解する
さらに、割り算の前に習うかけ算から理解することもできます。これは「10÷5=?」を「5×?=10となるとき、?に入る数はいくつですか」と理解するやり方です。
さて、スタニスワフ・レム(或いはアンドレイ・タルコフスキー)の『惑星ソラリス』。数年前に日本に帰ったときにEテレを視ていたら、数学者が講義を行っていて、「ソラリス」に「数」という観念はあるのかという問題を投げかけていた。惑星唯一の知的生命体で、惑星そのものともいえる「ソラリスの海」は〈他者〉を持たない。〈他者〉を持たず〈複数性〉を知らない存在者は「数」という観念を持てるのか。(名前は忘れてしまった)その数学者は、〈他者〉がいなくても、例えば紐があればその紐を自分の腕に巻く回数ということで、「数」の観念は生成し得るのだと言っていた。惑星或いは海には腕はないけれど、惑星であれば自転はしている筈で、自転(昼と夜の交代)の回数から、〈他者〉はなくとも、「数」の観念を持つことができるのか、と思った。
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*1:See 赤木智弘「小学生が教わる、おかしな掛け算おかしな割り算」http://blogos.com/article/51448/ Mentioned in http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20130304/1362333068
*2:http://quizknock.com/ See also http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20171028/1509154189