独逸語がない!

朝日新聞』の記事;


中学から第2外国語必修へ 都立小中高一貫校が計画

伊藤あずさ

2017年4月27日15時37分


 東京都教育委員会は27日、2022年度開校を目指す都立小中高一貫校で、第2外国語を中学段階から必修とし、小学校段階でも希望者は学べるようにする方針を決めた。公立の中学段階で第2外国語を必修にする試みは珍しいという。

 都教委によると、公立の小中高一貫校の開設は全国初の試みで、特に語学教育に力を入れたい考えだ。

 第2外国語の必修化などは27日の都教委定例会で了承された。7年生(中学1年生に相当)から第2外国語として、仏語、中国語、スペイン語などのうち一つを必修とする。1〜6年生でも希望する児童を対象に、通常の授業以外の学習として第2外国語に触れる機会を設けるという。

 英語教育にも力を入れ、1年生から授業で教え、6年生で英語検定3級(中学校卒業程度)水準になっていることを目指す。中学と高校に当たる7年生以降は少人数指導なども活用し、卒業時には英検準1級(大学中級程度)水準の習得を目標とする。

 都立の小中高一貫校は、都教委が13年から「世界で活躍できる人材の育成」を目的に、開校に向けた検討を続けている。都立立川国際中等教育学校立川市)に付属小学校を新設する予定。適性検査などの形で入学者を選抜する。(伊藤あずさ)
http://www.asahi.com/articles/ASK4W4510K4WUTIL01V.html

先ず吃驚したのは、「第2外国語」の中に独逸語が見えないこと。外国語といえば独逸語だろ! という旧制中学以来の伝統は完全に潰えてしまったわけだ(何を今更)。まあ、西班牙語の方がユーザーが多いよと言われれば、全くその通りなのだけど。
中学のうちから二外をやるというのはいいことだけど、問題は英語との関係をどうするのかということだろう。私の経験から言えば、大学の第二外国語の授業とかだと、学習者が英語をそれなりに身につけているということをあまり考慮していないように思える。まあ、英語の知識の仏蘭西語や西班牙語の学習に対する効果には多義的なものがあり、英語訛りの仏蘭西語や西班牙語を覚えてしまう可能性を厭う人もいるだろう。その一方で、少なくとも同じ印度ヨーロッパ語族の言葉を学ぶ上で、英語の知識は重要なリソースになるということも事実だろう*1。第2外国語は、英語で書かれた教科書を使って、英語で説明するということにしたらどうだろうか。そうすれば、仏蘭西語や中国語を習得できるかどうかはともかくとして、英語が飛躍的に上達するのは確実だろう*2
また、大学の第二外国語の問題として、フォロー・アップが乏しいということがあるだろう。せっかく第二外国語でそれなりの水準をクリアしても、語学以外の教養や専門の授業で、その言語を活用する機会が少ないんじゃないか。第二外国語をやるんだったら、フォロー・アップとして、(例えば)中国語のテクストを読むとか、中国語を使って何かを調べるといった授業を増やさなければいけない。

*1:仏蘭西語を学ぶ利点として、仏蘭西語をマスターすれば、伊太利語も西班牙語も、さらには羅典語も何となく見当がつくようになるよということが強調されることがある。

*2:ただ、英語話者向けの中国語教育のプログラムは、既に漢字を知っている日本人や韓国人にはかなり違和感のあるものである。