反自殺(吉本隆明)

宗教論争

宗教論争

吉本隆明と小川国夫の対談「宗教と幻想」*1(in 『宗教幻想』)から吉本の発言;


死というものは、個人の意志によって選ばれるものじゃない、と思っています。これは自殺であろうと、何であろうと、それは意志と契機と――(略)意志とは関わりなく、なんか契機と両方がなければ、人は死のうと思っても死ねないでしょうし、死なないと思っても、死ぬでしょう。そうぼくは思っています。
ですからぼくが死ぬとすれば、ちょうど三島さん*2 とは反対に、つまらない、――と言ったらいけないんでしょうけれども、三島さんの死に方のほうがつまらないかもしれないから。――たいへん些細なことで死ぬことはあり得る気がします。少なくとも三島さんのように、偉大なというか、公的思想を掲げて死ぬということはない、まず、自分から選んでそう死ぬことはないとおもいます。(p.99)
吉本自身の死についてはhttp://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20120316/1331898804