豊作の原因?

Justin McCurry “North Korea's rocket launch fails as world condemns action” http://www.guardian.co.uk/world/2012/apr/13/north-korea-rocket-launch-fails
CHOE SANG-HUN and DAVID E. SANGER “Rocket Failure May Be Test of North Korean Leader’s Power” http://www.nytimes.com/2012/04/14/world/asia/international-condemnation-follows-north-koreas-failed-rocket-launch.html
Marcus Noland “Sputnik? Kaputnik.” http://www.piie.com/realtime/?p=2825


北朝鮮のミサイル(或いは気象衛星)発射失敗について。これについての論評はせず。
ところで、『鳳凰週刊』の4月1日号は「朝鮮大飢荒真相」と題して、北朝鮮の飢餓問題を特集しているのだが、その中の周宇「朝鮮大飢荒真相」という記事(pp.22-29)にある幾つかの数字について。「朝鮮糧食産量(1981-2011)」というグラフがあるのだが(p.24)、それによると、北朝鮮における穀物水稲+トウモロコシ)の生産量は、1980年代には年間600万トン前後で推移している。しかし90年代に入ると、急激に生産量が増加し、900万トンに達している。この豊作は1993年まで続いたが、1994年には(80年代並みの)600万トンまで落ち、1996年には(最盛期の3分の1である)300万トンにまで落ち込んでいる。その後は(2000年の落ち込みがあるものの)徐々に回復しているが、未だに1980年代の水準には達していない。まあ金日成が憤死するのも無理はないぜという感じなのだが、1990年代前半の豊作の原因がよくわからない。
それから、「2009年対5歳及以下児童中、重度栄養不良多指標調査」(p.27)。ソースは北朝鮮の「中央統計局」とユネスコで、5歳以下の「発育不良児」の割合。20%未満が「正常」で、40%以上が「危険」だとされる。地域別に見ると、


咸鏡北道 38%
両江道 45%
慈江道 41%
咸鏡南道 39%
平安北道 30%
平安南道 31%
江原道 34%
黄海北道 31%
黄海南道 29%
平壌 23%


平壌が著しく低いほかは、北に行くにつれて飢餓が深刻になっていると大まかに言える。平壌には政治的な理由で食糧などが優先的に配給されているということがあるのだろうけど、この南北の格差の原因は何なのか。北部は中国から密輸された食糧(古米など)が南部よりも手に入りやすい筈なのだ。
北朝鮮における食糧配給の優先順位について、韓国の北朝鮮援助団体「好朋友們」によると、


1 党中央機関・各級党委員会メンバーと平壌住民
2 軍関係者
3 大企業従業員
4 一般住民


の順であり、その人数はそれぞれ100万人(人口の4%)、150万人(6%)、400万人(20%)、600万人(30%)であり、そのほかに「配給体制」から外された「農民階層」が800万人(40%)いるという。また馬得勇氏(南開大学周恩来管理学院)によると、第1・第2階層の人々は基本的に食が足りており、第3階層で「栄養失調」が出現し、第4階層では400万人が「厳重栄養失調」に直面しているという。