熊と虎

Via https://nessko.hatenadiary.jp/entry/2019/05/14/113136

“Rare Asiatic Black Bear spotted in Demilitarised Zone” https://www.bbc.com/news/world-asia-48214343


韓国の環境部は、韓国と北朝鮮を隔てる38度線附近の非武装地帯(DMZ)で、(韓国においては)絶滅危惧種であるツキノワグマの生存を確認し、その写真を公開した。以前から、韓国軍兵士が熊を目撃したという話はあったが、写真撮影に成功したのは今回が初めて。また、DMZには100種以上の絶滅が危惧される動物が棲息しているという。
これは凄い慶事といえるだろう。韓国人にとって、熊は神話論的に重要な動物であると言える。何しろ、「『三国遺事』などに見える朝鮮の建国神話では、天上の桓因の庶子である桓雄天王が、太白山頂に天下り、熊の化身の女と結婚して生まれた子、檀君王倹が、平壌に都を置き、朝鮮を建国したということになっている」(金文京『漢文と東アジア』、p.139*1)。つまり、朝鮮の始祖、檀君は熊の息子なのだ。

漢文と東アジア――訓読の文化圏 (岩波新書)

漢文と東アジア――訓読の文化圏 (岩波新書)

また、「虎の足跡」も発見されたという。これも凄い。虎も韓国文化において神話論的な重要性を持った動物であるけれど、朝鮮半島において虎の絶滅は既に確定した事実とされているようなのだ*2。もし本物だったら、それが覆ってしまうわけだ。1980年代だったか、或る韓国人に韓国には今でも虎は生きているのかと質問したことがあった。そのとき、彼は南にはもういないけれど北に行けばいるかも知れないと答えた*3。もう30年以上もあっていないその人に言いたいよ。虎は北朝鮮どころか38度線の南側にいるかも知れないんだよ!