http://d.hatena.ne.jp/Bhutan_Tamako/20101117
ブータンの「夜這い」について。それにしても盛り上がっている。それ以前に糸井重里/南伸坊の対談でも採り上げられているのか*1。さて、「この記事は、民俗学的・社会学的な正確さを保証するものではなく、単なる私の友だちへのインタビューです」ということなのだが、社会学的に重要というか、是非とも訊いていただきたかったのは、先ず「夜這い」の参加資格。ここに出てくるインフォーマントは15歳や16歳からやっているということなのだが、規範的に何歳以上からやっていいのかどうか。これはブータン農村社会における〈子ども〉から〈若者〉への移行に関わる。また日本の場合だと、参加資格はムラの人間に限られ、余所者(別のムラの人間)が見つかれば暴力的な制裁が待っていたわけだが、ブータンではどうなのか。それから、重要な前提としては、ムラの社会構成。中国人(漢族)の場合、「夜這い」というのはありえない。ムラ≒同族なので、「夜這い」はインセスト・タブー(異性の自家消費の禁止)に抵触してしまうことになる。同族外の異性とマッチングさせる仕掛けとして、歌垣があった筈だが、苗族等にはまだあるものの、漢族では既に消滅している。
ohnosakiko 文化, 性 アメリカの高校生男子のプロムの相手を決めるのと似た感覚なん?/戦前の日本では夜這いが前近代的悪習として放逐されてくのと同時に、売春制度が整っていったんだっけ/悪習としたのは後付けてことなら納得>id:Midas 2010/11/18
http://b.hatena.ne.jp/ohnosakiko/20101118#bookmark-26582852
少なくとも日本の場合、素人相手のセックスと玄人相手のセックスは別物として考えられていたのではないか。たしか上野千鶴子『性愛論』に入っていた田中優子先生との対談で、「夜這い」によっていくらでも無料でセックスができるのに何故ムラの若者たちは金を貯めて遊郭へ行こうとしたのかというトピックで、それは職人的なテクニックを娯しむためでしょうということが語られていたと思う。事実、中世において遊女は職人であったわけだ(See eg. 網野善彦『日本中世の民衆像』、中沢新一『悪党的思考』)。「戦前の日本では夜這いが前近代的悪習として放逐されてく」傾向があったのは事実だろうけど、それと「同時に、売春制度が整っていった」のではなくて、「売春制度」が変質して、即物的というか、〈やるだけ〉のものになっていったということなのでは? リンクされている赤松啓介の話はずっと別物として並存してきたことを説明できない気がする。「夜這いは前近代ゆえ放逐された」を否定できない。それを否定するのは、「夜這い」にのみ注目し、それを担うムラ社会の中の〈若者〉という存在を無視するからである*2。実際、明治以降国家権力は、そもそも〈危険〉な存在であったムラ社会の中の〈若者〉を〈青年団〉の組織化などによって体制化し・飼い馴らそうという試みを行っているわけで、「夜這い」の抑圧というのは、「道徳」的な側面があるにせよ、ムラ社会の国家による取り込みという文脈で考えなければならないわけだ。
Midas ↓その歴史観は間違ってるぞ!w「夜這いは前近代ゆえ放逐された」は「現代医療は科学w(id:NATROM)」と同じ原理主義のデタラメ。タダマン時代が終わった(id:hisamichi)のは道徳でなくテクの問題→http://bit.ly/9Swa14>id:ohnosakiko 2010/11/18
http://b.hatena.ne.jp/Midas/20101118#bookmark-26582852

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これは見つからないでよかったね。上にも書いたように、「隣村」の連中に見つかったらただでは済まなかったと思う。
Sofan くらし 俺の集落では「隣村に別嬪がいる」と聞くと夜中に峠越えしてまで夜這しにいった話を聞いたが、彼等の場合はどこまで行動圏なのだろう。ちなみに今40代の人の爺様の代の話だ。 2010/11/18
http://b.hatena.ne.jp/Sofan/20101118#bookmark-26582852
それから、
これは性行為と結婚を混同した話。先ずライフ・ステージ上の段階を取り違えている。結婚の場合は、常に労働力や財産の転移が関わってくる。そもそも今時モルガン(『古代社会』)やエンゲルス(『かしこく』)はNGでしょ。
complex_cat mating behavior, human behavior, sex 乱婚(promiscuity)からの発展型として女性側が自室を所有することで成り立った妻問婚(基本経時一妻多夫か乱婚)を近代の性関係の上に当てはめて合法的レイプシステムだと勘違いすると捻れる。子が共同体財産が前提。 2010/11/1813 clicks
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