承前*1
メメント・モリの対極として。
猫は自分が病気でも、そこが人間と動物の違うところで、なにしろ永遠化された一瞬の連続を生きているから、自分の病状をあれこれ思い悩むことも、治療費のことも、自分が死んだら飼主の老姉妹の悲しみはいかばかりか、それを思うと心残りで、トラーは死んでも死にきれないよ、などとウツ的に考えないですむのが、なにしろ猫の美質で、こちらにしてみれば救いというところである。(金井美恵子「老猫病床記」『目白雑録2』、p.20)
- 作者: 金井美恵子
- 出版社/メーカー: 朝日新聞出版
- 発売日: 2009/07/07
- メディア: 文庫
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