CSF11月例会

長尾さんからのメッセージ(to CSF-ML);


CSF11月例会ご案内
論題: 「童謡の歴史社会学―歌う身体の成立と展開―」
報告者: 周東美材(東京大学・院、ポピュラー音楽研究)

日時:  11月25日(日)14:00-
会場:  武蔵大学
http://www.musashi.ac.jp/kotsu/index.html
西武池袋線江古田駅」(各駅停車以外は通過)南口下車 徒歩6分または
地下鉄有楽町線新桜台駅」下車 徒歩5分

報告要旨:

報告者は,近代日本音楽史に関心を置きながら,主に大正後期から昭和初期にかけての子ども向け文芸雑誌とレコードの関係について研究してきた.本報告では,「童心主義」を標榜する文芸運動の中で胚胎されてきた「童謡」が,初期の録音産業の中核的な商品項目となっていく過程について,具体的な言説資料や音源資料を取り上げながら考察する.両者を印刷と録音という別個のメディアとして捉えるのではなく,政治的,社会的,技術的,人的な諸条件を横断的に眺めるならば,両者がいかに共犯的な関係を作り上げていったのかが理解できる.本報告は,とりわけ作曲家本居長世とその娘たちの音楽実践を取り上げ,彼らをそれぞれのメディアを架橋する存在として位置づけていきたい.彼らの公演活動を通じて,印刷技術に媒介されてきた「童謡」が,いかにして鳴り響く音楽として成立し,また録音産業へと接合されていったのかが理解される.最後に,本研究の今後の課題について整理し,さらに,広く「メディア文化」を研究する者にとって,「音楽」を探求していくことの意味についても考える時間を持ちたいと考えている.

主な参考文献:

武田俊輔 2002「柳田國男の民謡論」,『ソシオロゴス』第26号,pp1-20。
坪井秀人 2006『感覚の近代』,名古屋大学出版会。
細川周平 1998「近代日本音楽史・見取り図」,『現代詩手帖』5月号,pp24-34。
吉見俊哉 1995『「声」の資本主義』,講談社講談社選書メチエ)。
渡辺裕 2002『日本文化モダン・ラプソディ』,春秋社。