CSF on Arjun Appadurai

CSFの3月例会。 CSF-MLへの村井さんのメッセージ;


◎日時: 3月26日(水)14時〜
◎会場: 武蔵大学7号館3階社会学部実習室(7308教室)
  アクセスについては→〈http://www.musashi.ac.jp/modules/annai_kouhou/index.php?content_id=9


◎内容
 『さまよえる近代』の読書会と、門田さんのご報告の2本立てで行います。

?Arjun Appadurai, Modernity at Large(門田健一訳『さまよえる近代』、平凡社、2004年)の再検討
 原著の出版から12年が経ってますが、デジタル通信技術の飛躍的な発展や9.11以降の国際情勢の変化などを経た現在、グローバル化の乖離構造、資本主義的ノスタルジア、ポストナショナルなロケーションなど、アパデュライの提示した様々な論点は、今改めてどのように読まれうるのかを考える。
 清水知子(4章 消費、持続、歴史)、九谷浩之(7章 原初主義の後で)、村井寛志(第8章 愛国心とその未来)からそれぞれ、要約・批評・問題提起を行う予定。

?門田健一さんによる報告
 報告題:「ポスト冷戦期の文化理論と時間-空間の再編」

 様々な分野からの参加を期待してます。 よろしくお願いします。
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門田報告要旨
Modernity at Largeへと収斂していくアパデュライの一連の論考が構想された1990年代前半は,文化理論が大きな転回を迎えた時期でもあった。冷戦の終結とともに,「正統派マルクス主義」のパラダイムの影響力が徐々に弱まり,新たなパラダイムが模索されていた時代であった,と大きくはまとめることができるであろう。
この新しいパラダイムを模索するなかで,理論的基軸となったのが,アパデュライ自身も試みている,時間と空間というフレームを再編成することで,主体や他者の再概念化を試みることであったと考えられる。直線的,弁証法的な時間性に代わる新たな時間性の概念,グローバル対ローカルという二項対立的な空間把握に取って代わる新しい空間性の概念−−グローバリゼーションが全面化していくポスト冷戦期の理論的転回を,この二つの概念を軸としてマッピングすることで,アパデュライが同時代の諸理論のなかで占めている理論的位置(の一端)を,当日の報告では追尾したいと考えている。

参考文献
ホミ・K・バーバ『文化の場所』(法政大学出版局
エドワード・W・ソジャ『第三空間』(青土社
フレドリック・ジェイムソン「認知地図」(『10+1』No.3,Spring 1995)
Arjun Appadurai, Fear of Small Numbers (Duke University Press, 2006)