お化粧事情

http://d.hatena.ne.jp/trouble/20060922経由で知る。台湾お化粧事情;


お化粧とマナー
 
美術史学  黄 立芸(台湾)
 
 日本に留学する一日前に、日本に住んでいる叔母から電話がありました。「日本の女性は台湾の女性と違って皆お化粧をするのよ。お化粧をしないと失礼ですよ。はやくお化粧のしかたを身に付けないとだめですよ」と、話してくれました。それを聞いて、慌てて友達と一緒に化粧品を買ったり、その使い方を習ったりしました。出かけるときは、必ず日本の女性のようにお化粧をしていました。しかし、夏休みに国へ帰って、東京にいたときのようにお化粧をして友達に会いに行くと、みんな驚きました。「どうしてお化粧をしているの」とみんなに質問されました。女性のわたしにとって面白い経験だったと言えると思います。
 日本では、特に東京では、女子高校生でも、出かける前にお化粧をすることは日常茶飯事で、極めて普通なことなのかもしれません。それに対して台湾の女子高校生はいろいろな服装や髪型についての厳しい校則を守らなければなりません。言うまでもなく、お化粧は勉強の邪魔になると考えられて禁止されています。素朴な素顔そのままでこそいい学生と認められます。女子大学生がお化粧をして学校へ行ったら、「デートがあるでしょう」と聞かれることがよくあります。OLなら全然お化粧をしないとは言えませんが、眉を引いて口紅を塗るくらいで、日本のOLほど「濃い」お化粧をする人は多くないようです。お化粧をしなくても、失礼とは思われません。お化粧をすることとお化粧をしないこと、どちらかが唯一正しいマナーだとは言えないのではないでしょうか。
 文化の面から考えれば、お化粧するという行為には文化による美意識や礼儀作法の相違の一面が窺われるのではないかと思います。小さなことかもしれませんが、これはいままでの私の異文化体験の中で比較的印象深いことでした。
http://www.l.u-tokyo.ac.jp/ginnan/20031702/huang.html
日本でも、建前としては一応中学・高校では「お化粧」は「禁止」されているところが多いのでは? 
男性は女性の化粧をそれほど気にしていないように思えるが、それは日本ではナチュラル・メイクが主流だから? 勿論、化粧のノリが悪ければ目立つので気になるが、舞台用のメイクならともかく、日常的なお化粧においては、化粧していることが気付かれてはいけないというパラドックスがあるようだ。だからといって、スッピンでいいというわけでもない。取り敢えず文化差ということなのだろうが、韓国人女性から見ると、日本人女性はスッピンも同然ということを聞いたことがある。これは数年前の話だが、現在では韓国人女性のお化粧も〈日本化〉しているのだろうか。
昔働いていたところの上司が元官僚の方で、田中角栄随行して中国に行って周恩来と握手をしたことがあるという話を伺ったことがあるが、晩年の周恩来は公的な場所に姿を見せる際には、病気を隠すためか、化粧をしていたという。