「小泉効果」?

承前*1

『毎日』の記事;


靖国神社:最多25万人の参拝者 これも“小泉効果”?

時折強まる日差しの下、靖国神社を参拝する大勢の人たち=東京都千代田区で15日午後4時1分、山本晋写す

靖国神社の拝殿前に行列を作る参拝客=東京都千代田区で15日午後1時36分、本社ヘリから小出洋平写す

 小泉純一郎首相が参拝した15日の靖国神社には、約25万8000人(同神社まとめ)が訪れた。統計の残っている00年以降の一日当たりの参拝者数としては最多となった。同神社広報課は「首相参拝とその報道で関心が高まった影響がないとはいえない」としている。

 終戦の日の参拝者数は、小泉首相の就任後初参拝の2日後にあたる01年8月15日が、前年比約4万人増の約12万5000人。02〜04年は5万〜8万5000人で推移し、05年は関係団体などによる大規模な参拝推進運動もあり、約20万5000人に急増した。今年は朝方小雨が降ったが、首相が参拝した午前中に昨年を上回ったという。【竹中拓実】

毎日新聞 2006年8月15日 20時44分 (最終更新時間 8月15日 21時27分)
http://www.mainichi-msn.co.jp/today/news/20060816k0000m040091000c.html

さらに、『朝日』の記事;

飛び交う歓声、外国メディア懸念も 首相参拝の靖国神社
2006年08月15日11時38分

 「小泉劇場」の締めくくりの舞台は、靖国神社だった。国内外のメディアを引き寄せ、境内を埋めた参拝者の歓声を背に、小泉首相終戦記念日の8月15日、言い募ってきた「公約」を果たした。戦没遺族、学生、識者、そしてアジアの人々。首相にとっての「心の問題」が、それぞれのヤスクニとあの戦争への思いをこの日、ひときわ鋭く交錯させた。

 上空の警視庁や報道のヘリコプターの音がひときわ大きくなった午前7時40分、霧のような雨が降る中、小泉首相の車列が到着した。

 昨年10月は第二鳥居の外側で車を降り、一般の参拝者と同様に拝殿で参拝したが、今回は到着殿に車で乗り付けた。

 モーニング姿の首相は到着殿から本殿へ。本殿に上る階段の手前で、一度上を見上げた。うつむき加減に階段を上り、本殿の中へ。その背中に、拝殿の外側から大勢の人たちがいっせいにカメラ付き携帯電話を向けた。

 約2分後、首相は本殿から再び姿を現した。神社に着いて約15分。小泉首相靖国を後にした。

 この日は早朝から、参拝を見届けようと多くの人が詰めかけた。「英霊にこたえる会」などが配った日の丸を手にした人たちも。小泉首相が姿を見せると参拝者が押し寄せ、「万歳」の歓声が上がった。神社近くの路上では、靖国に合祀(ごうし)されている台湾の先住民の遺族らが、合祀の取り下げや首相の参拝反対を訴えて座り込みをした。

 名古屋市の女子高校生(18)は小泉首相の参拝を見ようと、初めて母親(44)と一緒に靖国に来た。「学校の先生は首相の靖国参拝に反対していたけど、日本を背負って戦死した人たちに失礼と思った。小泉さんが参拝して本当によかった」

 しかし、母は少し違う。「参拝はいいが、A級戦犯が合祀されている以上、総理の名ではしてほしくなかった」

 奈良県の女性(61)は、地元の遺族会から誘われ、初めて足を運んだ。小泉首相が参拝を終えた後、入れ違いに靖国に着いた。終戦の年に生まれ、沖縄で戦死した兄のことを聞かされて育った。「私たちのような悲しい思いをする人が二度と出ないようにと祈った。小泉首相が同じ日に同じ思いで参拝してくれていたら、やっぱりうれしい」と言った。

 韓国、英国、カナダ……。外国メディアも参拝を注視した。韓国のテレビ局KBSのディレクターの朴正用(パク・チョンヨン)さん(46)はクルー3人と小泉首相の姿を追った。神社参拝は日本文化だと思っているが、首相の参拝は政治的問題を起こすと懸念もしている。「5年間の小泉首相の参拝で韓国人が靖国問題を注目するようになった。日本の民族主義の背景に何があるのかを解明したい」と話した。

 神社前の雑貨店。明治時代から続く老舗(しにせ)はこの日、シャッターを閉じたまま。3代目店主の小林国利さん(75)は右翼団体と機動隊の小競り合いなどを目の当たりにして、この3年、終戦の日は店を閉じている。

 「昔は静かな場所だった。まつられている人とは関係ない人が騒いで、雰囲気が悪くなった」
http://www.asahi.com/national/update/0815/TKY200608150203.html


「なぜ首相参拝がいけない?」 靖国に若者たち
2006年08月16日01時52分

 終戦記念日小泉首相の参拝で揺れた靖国神社は15日、若い世代の姿が目立った。戦争、戦死、天皇、国家、追悼、戦犯……。重い言葉を連想させる場所はこの日、いつもとは違う表情を見せた。

 午前7時45分。小泉首相が本殿で参拝をしていた時、拝殿前の参道に集まった参拝客の多くは、片手を高く上げた若者たちだった。手にしているのはカメラ付き携帯電話かデジタルカメラだ。

 「こっちにはこないの」「えー」。首相の参拝が終わると、そのまま参拝せずにきびすを返す若者も少なくなかった。

 Tシャツ、ジーンズ、キャップ、茶髪。見た目は、渋谷や新宿などにいる若者たちの姿と何も変わらない。誰とも口をきかず、1人で足早に参拝する姿も目立つ。

 「どうして首相が靖国神社に参拝してはいけないんですか」。27歳の会社員は、逆に問い返してきた。「国のために命を捨てた人を、国の指導者が追悼するのは当然じゃないですか」

 ダークスーツ、羽織袴(はおりはかま)、ジーンズ……。午前11時過ぎ、大村益次郎銅像がある一角に、様々な服装をした若者たちが集まった。初対面らしく、自己紹介をして頭を下げている。

 「国を思い、先祖を思う。正しい方法で粛々と靖国参拝する」「参加者の史観、思想信条は問いません」。掲示板サイト「2ちゃんねる」で、前日の未明に集合場所や時間が書き込まれていた。ネット上ではなく、現実社会で集まる「オフ会」。30人を超した。

 初めて顔を合わせた若者たちが、一つの固まりになって移動する。呼びかけ人は「本日は取材はお断りしています」。

 靖国問題を巡る度重なる報道が、若者と神社を結びつけた面もある。

 仙台市の女子高生(16)は連日のニュースが気になり、夏休みの家族旅行の途中に「一度行ってみたい」と母親に頼んで靖国神社に連れてきてもらった。初の参拝は「予想以上に多くの人が来ていてなんか感激したし、戦争で死んだ人に私も追悼の声をかけてあげたいと思った」。

 靖国神社には、国のために戦って命を落とした人たちを顕彰する「遊就館」がある。先の戦争を「自存自衛のための戦い」と位置づける戦争博物館だ。東京都町田市の私立高校に通う3年男子(18)は後輩たち4人と訪れた。仲間内で憲法9条が話題になったことをきっかけに、携帯電話でメールを回してこの日の訪問を決めたという。

 初めての遊就館は、過去に訪ねた広島市の平和記念資料館とは雰囲気が違った。「ここに来て、『戦争って格好いい』って思う人がいたら怖い」

 この朝、東京都府中市の女子大生(22)は友人と午前5時に家を出て、到着殿前で小泉首相を待った。「連日、これだけマスコミで騒ぎになっているので、歴史的な瞬間に立ち会いたいと思って来ました」。参拝について言った。「終戦記念日に公式に参拝するのは、どうかと思う」

    ◇

 靖国神社からほど近い千鳥ケ淵戦没者墓苑(東京都千代田区)には、約35万人の無名戦没者の遺骨が眠る。献花が続く午前11時25分、小泉首相が姿を見せた。

 拍手と批判の声が交じるなか、元会社役員太田康一郎さん(79)は「(靖国参拝は)よくやってくれた。戦争は賛美しないが、友たちの犠牲の上に、今の平和がある。それを忘れてはいけない」と話した。

 首相がかつて足を運び、涙した鹿児島県知覧町知覧特攻平和会館。太平洋戦争末期に戦死した特攻隊員を慰霊し、遺書などを展示する。妻ら家族10人と訪れていた佐賀市の森永俊吾さん(86)は首相に苦言を呈した。「やめてほしい。日を変えるとかした方がよかったのではないか」

 広島県呉市大和ミュージアム(市海事歴史科学館)の入館者は昨年4月のオープン後、すでに約217万人を記録。大和の乗組員の遺書の展示もあるが、人気の的は戦艦大和の10分の1の模型だ。

 家族で大阪から見物に来た稲田雅巳さん(19)は「最後の参拝を妥協してほしくなかった」と首相を支持。一方、広島市の大学生上田裕子さん(19)は「アジアの感情を考えれば、次の首相は参拝しないで」と訴えた。

 被爆で亡くなった姉2人の冥福を祈った広島市西区の主婦(62)は「A級戦犯は原爆が使われた戦争に責任がある人々。行ってほしくなかった」という。従軍中のけがで帰還中に被爆した広島市中区の三浦実さん(86)は「本当に複雑」と言った。「靖国で会おう」と言って亡くなった戦友を思えば、首相に参拝してほしい。でも、原爆でひどい目にあわされたのは誰のせいかと考えると思いは乱れる。だからこそ、「国民や周辺国に複雑な思いがあるのに、すべて自分の『心の問題』と片づけるのはあまりに乱暴」に思えた。

 24万人余の戦没者らの名が刻まれた沖縄県糸満市の「平和の礎(いしじ)」にいた奥間功さん(72)も複雑な気持ちだった。「外国を刺激してまで行く必要があるのか。でも、戦争で命を落とした多くの人がまつられている靖国に参るのも当然だ」

 礎に伯父の名がある沖縄市の男性(63)は首相支持派だ。それでも「犠牲者と戦犯を分離する方が、首相も他の人も行きやすい」と思っている。
http://www.asahi.com/national/update/0816/TKY200608150568.html

最後の記事はタイトルからすると、若者の右傾化! というノリなのだが、本文を読むと、「歴史的な瞬間に立ち会いたい」という人もけっこういるわけだ。

昨日の中国のCCTVの夜のニュースは「靖国」一色。東京特派員と生で繋いでいた。中国語のニュース・チャンネルだけでなく、英語チャンネルでも。バランスを取るためか、南京で「日本友人」が慰霊祭を挙行というニュースも流していた。