広田弘毅の孫

最近再度注目が集まっているようだ。2006年にTV朝日の『報道ステーション』で放映された内容;


「責任ある地位にいた者であるのは確かで、その地位にあった者としての責任を取るという覚悟は当然あったと思うし、私もそれが当然かなと思う」。
戦前戦中の激動期に外務官僚から外務大臣、総理大臣を歴任した第32代内閣総理大臣広田弘毅は、外務大臣時代に起きた、いわゆる「南京大虐殺」や、総理在任中の「日独防共協定」の締結などを理由にA級戦犯とされ、絞首刑に処せられた。絞首刑となった7人のうち、ただ一人軍人ではなかった広田元総理は「黙して語らず」という姿勢を貫き通し、裁判中、ほとんど弁解をしなかったという。
その広田元総理の孫、広田弘太郎氏が音声のみのインタビューで靖国神社に合祀された遺族の複雑な想いを語った。

A級戦犯が「軍神」として崇めたてられることを懸念したGHQは、遺骨を遺族に渡さなかったが遺族の弁護士に依頼された住職が、遺骨をこっそりと拾い集めていた。遺骨はその後、国からそれぞれの遺族に配られたが、広田家は受け取りを拒否した。「火葬場のゴミ捨て場で夜陰に紛れてかき集めたものが、少なくとも広田弘毅の遺骨でないものも当然含まれているものを遺骨として拝む気になれない」と弘太郎氏。広田家では、元総理の毛髪を福岡と鎌倉の2つの寺に祀っている。「年に何回かお参りをしているので広田弘毅の祀られているのはその寺だ」。
しかし、1978年、広田元総理を含むA級戦犯14人が靖国神社に密かに合祀された。「私が合祀を聞いた時にはびっくりした。そんなはずはないと、間違えて祀ったと」と当時を振り返る。さらに「靖国神社は確信犯としてやったのでしょうね。勝手に祀られたというか、びっくりしたということに加えて言うとすれば、不快感まで言っていいのかわからないが決して喜んではいないし、できれば取り消して欲しい」と続けた。
「家族としては英霊として祀られることを希望しません。特に靖国神社に。英霊だとみなして頂くことが、うれしいことではない。靖国神社というものはお国のために戦死した兵隊とか軍人とか、そういう方を祀るためにできた神社であって、軍人でもなければ戦死者でもない広田弘毅靖国神社に祀られる資格さえない。私どもから希望したりお願いしたことはありません。神社の方から同意を求めるということもありませんでした」。
合祀する際に遺族の了解を得たことはない、というのが靖国神社の言い分だ。
「もともと合祀されたことを認めてないのですからこちらから分祀してくれとは言いませんけれども合祀をしたというのは靖国神社の意志と靖国神社の行為ですから、靖国神社がそれを取り消して広田弘毅はお祀りしないことにしましたと、言ってきて頂ければ非常にスッキリする」。
http://www.tv-asahi.co.jp/hst/contents/sp_2006/special2/060810.html

A級戦犯」の靖国合祀については、http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20060220/1140444948 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20060425/1145932371 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20060515/1147711102 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20060517/1147865407 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20060721/1153511618 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20060730/1154264777 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20060809/1155135784も参照のこと。


靖国参拝における小泉首相(当時)と安倍首相の差」http://d.hatena.ne.jp/D_Amon/20131229/p1


小泉純一郎安倍晋三の差。状況の違いというのは勿論ある。しかし、「歴史修正主義者」か否かというのは決定的だろう。『ガーディアン』のJustin McCurry記者のインタヴューに答えた中野晃一氏のコメントも参照されたい*1

*1:Justin McCurry “Japan's Shinzo Abe risks tension with neighbours by visiting war dead shrine” http://www.theguardian.com/world/2013/dec/26/japan-shinzo-abe-tension-neighbours-shrine Cited in http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20131228/1388192793