不惑を過ぎて

『余命三年』なるblogの呼びかけに乗せられて、熱湯浴どもが佐々木亮弁護士への懲戒請求を大量に送り付けた騒動*1を巡って。


「弁護士に懲戒請求した”ネトウヨ”たちの意外な素顔とは?」https://dot.asahi.com/wa/2018052000007.html


曰く、


懲戒請求した人の年齢で、今分かってるのは、1番若くて43歳。40代後半から50代が層が厚く、60代、70代もおられる。今までネトウヨ諸君と呼びかけていたけど、年齢的に上の人が多そうなので、失礼だったかな?」

5月18日にこうツイートしたのは東京弁護士会佐々木亮弁護士だ。根拠のない懲戒請求を計約4千件出され、業務を妨害されたとしている。同じ被害を受けたという北周士弁護士とともに16日に会見し、一部の請求者約960人に対して、損害賠償(請求者1人当たり60万円想定)を求める訴えを起こす方針を明らかにした。

 提訴する前にネットなどを通じて和解を呼びかけたところ、数十人から連絡があった。その人たちの年齢を聞いたところ、冒頭のような状況だったという。佐々木氏は予想以上に年齢層が高かったと驚く。

「当初は20代の若者が、訳もわからずやっているのかと思っていました。連絡してきた人と話すと、40代や50代のまじめそうな人が多くて意外でした」


北氏は佐々木氏への懲戒請求を批判するツイートをしたところ、自分にも大量の懲戒請求書が届いたという。

懲戒請求書の束を見て、自分は何をしたんだろうと怖くなりました。懲戒請求は誰でもできますが、弁護士にとっては資格を奪われるかもしれない重要なことです。やるのであれば根拠があるのかどうか、きちんと調べて欲しい」

 北氏は請求者と話すと、良くも悪くも「純粋」な人が多いと感じたという。

「年齢は高めで、男性ばかりではなく女性もいます。なぜこんなことをしたのか聞くと、『朝鮮学校の無償化に賛成する人に懲戒を請求すれば日本がよくなると思った』と複数の人が答えました。ネットの掲示板に匿名で書き込む感覚でやっている。懲戒請求するとどうなるかという具体的な認識がなかった。『こんなことになるとは』、という連絡をもらうこともありました」

最初、この年齢分布について聞いたとき、一瞬、不惑を過ぎて何やっているんだよとか、天命を知っている筈の人もいるじゃないかと思ったのだが、次の瞬間に、まあそんなもんだろうねと思った。西部邁の自殺を手伝った45歳のTV局員がいたけれど、彼について、「「新しい歴史教科書をつくる会」発足で盛り上がった時期に、大学生辺りで、宇豫道に覚醒した人」と書いたことがある*2。勿論、彼の詳しいライフ・ヒストリーは知らないので、たんなる推測にすぎないのだが、あの当時、高校生とか大学生で、小林よしのりの漫画とかを読んで、ウヨに覚醒した人というのは多かった筈だし、個人的にも何人か目撃している。その人たちのかなりの部分が不惑を超えている筈なのだ。また、2ちゃんねるの登場によって、ネット空間はぎすぎすした匿名性の闇に変じてしまったといえるけれど、古株・草分けの2ちゃんねらー(現5ちゃんねらー)も既にもういい年になっている筈なのだ。さらに、(私も含む)50代については、かなり前に「『宇宙戦艦ヤマト』(TV版)はオタク文化の原点とも言われていますが、私たちの世代が10代の頃に『宇宙戦艦ヤマト』にはまってしまったことがその後の日本の右傾化にかなり影響しているのではないかと世代的な責任を感じている次第です」と書いたことがあった*3