陳佳「斯蔕芬・金《黒暗塔》被引進」『東方早報』2006年4月25日
1990年代にスティーヴン・キングの代表的なホラー小説が中国で相継いで翻訳刊行されたが、あまり売れず、1万部に届くのも難しかった。現在では、一部の「特価書店」以外でスティーヴン・キングの小説を見かけることは難しい。現在刊行されている『黒暗塔(The Dark Tower)』シリーズを企画している「読書人公司」によれば、売れなかった理由は2つあり、まずは装丁が「粗〓*1」であったこと。また、「当時的中国読者還未養成閲読西方通俗文学的習慣」ということ。後者については、「近年来経歴了《魔戒》*2、《哈利・波特》的培育、一個成規模的外国通俗文学閲読市場已経成熟」であるという。また、「斯蔕芬・金式驚悚不符合中国人的閲読習慣」ということもあるという。「但中国人寧可接受西徳尼・希爾頓而不是斯蔕芬・金、因為前者更加符合中国人対西方的想像」。「最貼近美国日常生活」であるキングのモダン・ホラーという作風が問題であるらしい。なので、今回は「ホラー小説」を避けて、「時下最流行的奇幻小説」、すなわちファンタジーが選ばれた。『黒暗塔(The Dark Tower)』シリーズを出版している人民文学出版社はキングの短編集『四季奇談』も刊行するというし、また上海訳文出版社も『手機』を刊行するという。
ところで、記事ではキングについて、「在欧美国家就像金庸在中国一様、婦孺皆知的名字」と紹介している。これはポピュラリティについていっているのだが、作風としては全然違うか。金庸の小説というのは、日本でいえば山田風太郎というか(エラくならない前の)司馬遼太郎という感じではある。