承前*1
国本愛「スパイ指示役「デタラメ」」『毎日新聞』2024年9月13日
ベラルーシで日本語教師が日本の「スパイ容疑」で拘束されている事件について。ベラルーシ国営TVではこの事件についての番組で、或る男性を「スパイ活動の指示役」として名指している。「前妻の兄」が今回拘束された中西雅敏氏であるという関係。番組では、中西氏とその男性とのLINEでのやり取りが取り上げられたが、そのスクショには「日本語とは全く意味が異なるロシア語」が添えられていた*2。
何故瞬時に嘘だとバレるようなことを「国営放送」がやったのかというのもあるのだけど、もっと疑問だったのは、ベラルーシの番組なのに何故露西亜語なのかということ。いくら旧蘇聯で露西亜語が分かる人が多いとは言っても、国営放送がベラルーシ人の視聴者を意識していたなら、露西亜語ではなくてベラルーシ語を添えるんじゃないか? 或いは、捏造を実行した人たち、またこの捏造の成果の想定されたオーディエンスは実は露西亜語を母語とするような人だったのでは? とか思ってしまった。
番組では、男性は日本の国家公安委員会の関係者で、スパイ活動の指示役とされ、その「証拠」として、2人の[LINE上での]やりとりが紹介された。
ただ、中西さんは日本語で「日本企業(の進出)にメリットは少ない。中国のパワーには凄いものがある」などと投稿していたが、番組では「最近の攻撃は米国のでっちあげのようだ。信頼できるのは自分の情報網だけ」などとロシア語で訳されていた*3。
男性によると、やりとりは数年前のもので、ベラルーシへの企業進出について興味本位で聞いたことに対する、中西さんの返答だったという。男性は、「自社製品が海外でも需要があるか気になっただけで、経営者ならごく当たり前の雑談」と話し(後略)
*1:https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/2024/09/09/214322
*2:記事では「ロシア語に訳していた」と書かれているが、翻訳では全くないものについて、「訳していた」と書くのは端的に誤りだろう。
*3:翻訳じゃないだろう!