走れ、浮きたいのなら!

逆寅次郎*1「なぜ人は花火に魅了されるのか?サイダーや酒やビールを飲むのか?についての精神分析https://gyakutorajiro.com/entry/fireworks


アートとしての「花火」を論ずるのであれば、まあ蔡國強*2に言及しないわけにはいかないのだが。
それはともかくとして、「花火」と「重力」を結びつけたことはなかった。勿論、「花火」が打ち上がるという事態が揚力が重力を超過することによって起っているということは理解する。但し、それは不可視或いは不可聴なのであって、「花火」の光が見えて破裂する音が聴こえた後に、そういうプロセスがあったなと推定できるだけなのだ。福永武彦の小説のタイトルの由来ともなった蘇東坡の「海市」という詩があるけれど*3、その締めの「隨東風」というフレーズが「花火」にとっても重要だと思うのだ*4。また、蔡國強の作品を鑑みれば、「花火」にとって最重要なのは、音でも光でもなくて、煙であるということになる。

さて、「重力」に喧嘩を売りたいのなら、走って走って、揚力を獲得するしかない。そのような揚力の強い音楽といえば、荒井由実に如くはないのでは? だから宮崎駿が『魔女の宅急便*5で使ったわけだ。ただ、揚力が特に強いなと思うのは、使われた「ルージュの伝言」よりは例えば「中央フリーウェイ」のような曲なのだけど。とにかく、「魔女」ならぬトンボのような人間が「重力」と張り合いたいなら、走って走って走りぬくしかないわけだ。
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14番目の月

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ところで、「花火」というと、するのか見るのか、という問題がある。息子が、やっぱり線香花火が最高だね、と言っていたのだった。