信じること

文月悠光*1「ガラスの靴を探して」(in 『臆病な詩人、街へ出る』、pp.59-70)


曰く、


(前略)今まで自分の欠点をあげつらい、「美しくなれるはずがない」と無意識に暗示をかけてきた。私を醜くしているのは、私自身なのかもしれない。
シンデレラが「私なんて」と家に閉じこもっていたら、招待状はただの紙切れに過ぎず、魔法にかかるはずがない。「誰も迎えに来ない」と呪いながら一生を終えただろう。彼女が舞踏会に行けたのは、自分の美しさを信じることができたからだ。(p.69)