さとうしゅういち*1「日本書紀を改ざん・捏造した藤原不比等の総括を戦後すぐしておくべきだった」https://hiroseto.exblog.jp/27930962/
いやはや吃驚! この方の政治的言説はこれまでも度々参照してきたが、こういうことを信じていらっしゃるのね!
いわゆる皇国史観は第二次世界大戦敗北で破棄されたはずだった。しかし、結局のところ、藤原不比等により改ざん・捏造された「日本書紀」を民主化されたはずの日本はそのまま事実として受け止めた状態が続いた。古事記が数ヵ月で完成したのに、日本書紀は二十年以上かかっている。その間、藤原不比等政権は、政権に都合が悪い在野の歴史資料をすべて焼き捨てさせるという言論弾圧を行っている。
もしかして、この方、藤原不比等と藤原鎌足は父子ではなくて同一人物だと信じているのだろうか。普通に考えれば、〈日本史〉それ自体に宣戦布告しているようなことを言うには、少なくともこの数倍の分量の脚註や文献目録が必要なんじゃないかと思うのだけれど、所謂「九州王朝」説、或いはその教祖たる古田武彦という先生*2の信者にとっては、わざわざ典拠を示すまでもない自明な事柄ということになるのだろうか。
「日本書紀」も、天武天皇が、天智天皇の王朝を倒したあと、自分の正統性をアピールのためにつくられるはずだった。しかし、天武天皇の死後にかなり編集方針が替わった。かつての日本が王朝の並存・交替まくりだったことは伏せられた。いわゆる大和朝廷が万世一系で続いたかのように改ざんや捏造された。
いわゆる九州王朝=筑紫王朝倭国が対外的な日本代表の「天子」だったことも、ヤマトの王朝が葛城、平群、物部、蘇我とかわり、7世紀半ばには斉明・天智天皇母子に倒された?蘇我入鹿ないし蝦夷が実は大王(天皇)だったこともなかったことにされた。
天智天皇と天武天皇は同父母兄弟ではなく恐らく天武天皇が異父兄で、ヤマトの大王だった蘇我入鹿ないし蝦夷=蘇我善徳の子であることも伏せられた。
もちろん、「天武が天智を暗殺し、ヤマトの政権を奪い返した」とは書かなかった。(九州でも天武と連合した高市天皇が政権を奪い返したはずだが高市天皇に至っては存在を抹消されている。)
「皇統の異動」は絶対あってはならない。万世一系の皇室を牛耳る藤原のために。
そういう意志を感じる。正々堂々前王朝を倒した、といわずに捏造・改ざんしたゆえんである。
私は藤原氏ではなくて平氏だけれど、藤原不比等が可哀想になってきた。誰か、弁護してあげて! そういえば、「さとう」さんは藤原氏で、不比等は自身の御先祖に当たるのでは?
*1:See also http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20100320/1269056550 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20160720/1468983337 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20160804/1470275454 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20160923/1474654130 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20170224/1487910099 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20170321/1490068443 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20170410/1491799584 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20170603/1496450833 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20180311/1520729070 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20180406/1523022564 https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/20180927/1538011532