制度的問題?

佐々木田鶴「ベルギーでトランスジェンダーの副首相誕生」https://this.kiji.is/686874089528280161


白耳義では、今月650日以上の政治空白を脱して、今月初めに新政権が発足した。その新政権において、「緑の党」のペトラ・デゥ・スッテル氏が副首相になった。彼女は産婦人科医にしてトランスジェンダー(M2F)*1。しかしながら、白耳義においては、彼女がトランスジェンダーであることは全く注目されていない。副首相になった人物が偶々トランスジェンダーだった*2
さて、白耳義の一般的な政治状況について、佐々木さんは次のように記述している;


今回ようやく成立したのは7党連立政府。そもそもベルギーでは、国を二分するゲルマン系民族とラテン系民族が「社会のあり方」に期待するものは極端に違う。公用語が三つもあり、有史以来、ありとあらゆる移民や外国人がやってきてできた社会だ。

 他人と異なることが当たり前の社会では、支持する政党がばらけるのは無理もなく、二大政党どころか、政権の中核を担える明確な多数派政党すらない。だから、総選挙の後には連立を組む相手と折り合いをつけるのに、毎回気の遠くなるような時間がかかる。10~11年にも541日を要した。今回はさらにそれを越えた。でも、新政権ができるまでは、前政府と前首相が決められていることだけを粛々とこなす決まりがあるから、カオスには陥らない。突然のコロナ危機では、特命を与えられた臨時首相がなんとか対応してきていた。

白耳義名物ともいえる政治的空白。これは「他人と異なることが当たり前」という謂わば国民性の問題であるよりも、端的に制度の問題なのでは? 白耳義の下院は比例代表制のみで選ばれるのだった。英国のように、小選挙区制だけで通せば、「総選挙の後には連立を組む相手と折り合いをつけるのに、毎回気の遠くなるような時間がかかる」ということはあり得ないだろう。まあ、その国民性故に小選挙区制が忌避されているともいえるかも知れないけど。
因みに、比例代表制をdisって小選挙区制を持ち上げているというわけではない。どの制度も、またかつての日本みたいな中選挙区制も、みな固有の長所と短所を持っている。まあ、比例代表制の短所として、杉田水脈*3みたいのが選ばれてしまうことがあるというのが最近明らかになったけれど。