最後のチョンボ

佐和隆光*1「デジタル時代における読者家たちの苦悩」『経』(ダイヤモンド社)223、pp.24-27、2020


「読者家」というのは「読書家」の間違いだろう。この『経』という雑誌、この号を以て「休刊」になるのだという。まさに最後の校正ミス! もしかしたら、記念のためについうっかりわざとやったのかも知れない。
さて、佐和先生、唐突に向坂逸郎*2のエピソードを(何故か敬語で)書いているので、それを写しておく;


マルクス経済学者・向坂逸郎九州大学名誉教授は、日本語、英語、ドイツ語の本を買うことが、自分の学問にとっての必要経費だと若くして決意され、「本を買うために子どもはつくらない」ことを奥さんに納得させ、膨大な蔵書の山を築いた。晩年は東京に住まわれ、鉄筋コンクリートの書庫を庭に建てられた。その書庫に納められた書籍は何と5万冊。1985年1月に亡くなった後、夫人が蔵書を法政大学大原社会問題研究所に寄贈し、10年余りかけて司書により整理された向坂文庫が、大原社研の図書館に収納されている。(pp.25-26)