国が図書館を殺す

岐阜新聞』の記事;


司書離れ深刻、サービス縮小 「君の名は。」聖地の飛騨市図書館
2020年03月29日 09:20


 飛騨市図書館(岐阜県同市古川町本町)*1は、4月から業務を大幅に縮小し、新刊の受け入れや書籍の特集コーナーをやめる。非正規の司書3人が3月末で辞め、サービスを継続できなくなるため。図書館司書は高い専門性が求められるが、非正規で採用され雇用が不安定な例が少なくない。西倉幸子館長(38)は「せっかく司書が育っても雇用が安定せず、ついにサービスに響いてしまった」と話す。

 同館は古川町唯一の図書館で、約8万冊を所蔵する。2016年公開の人気アニメ映画「君の名は。」に登場する図書館のモデルでもあり、近年は写真撮影スポットとしても親しまれている。毎月新刊約300冊を選んで購入しているほか、昨年は性的少数者(LGBT)関連書籍の特集コーナーを設けて話題を呼んだ。

 ところが3月末で司書3人が退職し、4月から司書の体制は西倉館長と非正規の1人になる。同館は今年に入ってから司書3人を募集しているが、いまだに十分な応募がない。

 4月からは、これまで複数の職員で話し合って決めていた新刊の受け入れをやめ、特集コーナーも行わない。保育園など団体向けの読み聞かせも要望を受けられなくなる。雑誌の受け入れは月4回程度に減る。

 司書離れは、不安定な雇用、待遇の悪さが一因と指摘されている。新年度から多くの非正規職員が「嘱託職員」から「会計年度任用職員」に移行するが、雇用期間の上限は原則1年のまま。国は再度の雇用を含めても3年を上限とするよう求めている。

 4年間勤め、3月に退職する司書の女性(32)は「仕事の上達に時間のかかる職種なのに、なぜ雇用の上限があるのか。司書の仕事は大好きだが、今の制度のままでは将来の見通しが立たない」と退職を決めた理由を話した。

 非正規職員の雇用期間上限に関し、西倉館長は「人口の大小にかかわらず、司書は市民の本を読む権利を守るために不可欠な仕事。司書の重要さと専門性を社会にもっと理解してほしい」と訴えた。

 県図書館の鍋島寿館長(60)は「司書資格そのものは大学の課程や通信教育でも取得できるため、持っている人は少なくない。私見だが、図書館を支える責任の重さと待遇が見合っていないのではないか。正規職員の枠を増やすなど、工夫が必要」と話した。
https://www.gifu-np.co.jp/news/20200329/20200329-227880.html

「図書館を支える責任の重さと待遇が見合っていないのではないか」というのは「私見」ではなく、多くの人がそう認識しているのでは? 要するに、新自由主義的な妄想に憑りつかれた「国」が「図書館」を殺しているわけだ。これは決して「図書館」だけ、「飛騨市」だけの問題ではないだろう。