「作品を批判する権利」と「脅迫されない権利」

承前*1

「奪われた“批判する権利”~憲法学者・木村草太さん」https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190830/k10012056841000.html


木村草太氏*2曰く、


「『表現の自由』というのは公権力などによって強制的に表現することを奪われない権利です。一方で、ほかの人々から表現を非難されないという自由は含まれませんから、作品の内容や、展示の決定に対して人々が自由に批判することはまさに表現の自由です」と語りました。

「強制力を使ってやめるさせることと、表現者に対して『こういう表現は間違っているんじゃないですか?』と伝え作者が自律的に改善するというのは全く違うものです。彫刻などの作品は鑑賞しないと立体的な評価はできず、報道などで作品内容を知ったとしても鑑賞せずに非難するというのは批判者として誠実ではありません。展示自体が行われていないということは、これまでに行った人を除けば作品を批判することすらできない状態になってしまった。つまり、今回の展示中止は『作品を見てもらう権利』と同時に、『作品を批判する権利』すら奪われているんだという視点が重要だと思います」
また、

「『脅迫されない権利』、『業務を妨害されない権利』といった、表現の自由よりもっと手前にある重要な権利が侵害されてしまった。脅迫で、イベントをつぶすことができてしまうというもろさが露呈した。これから行われる東京オリンピックの開会式前日に脅迫状が届いたらどうするのか?大阪万博は対処できるのかという将来的な問題も浮き彫りになりました。愛知県だけの問題ではなく全国の知事や警察が連携して対策を研究してほしい」