私なんか

昨年、絶望した九州大学憲法学専攻の46歳のODが幾分派手な仕方で自決したしたときには「この方のことは他人事だとは全く思えない」と書いた*1
『ハフィントン・ポスト』(『朝日新聞』)の記事;


2019年04月10日 10時15分 JST
文系の博士課程「破滅の道。人材がドブに捨てられる」 ある女性研究者の自死
大きな研究成果を上げ、将来を期待されていたにもかかわらず、43歳で自ら命を絶った。

朝日新聞デジタル

文系の博士課程「進むと破滅」 ある女性研究者の自死

 大きな研究成果を上げ、将来を期待されていたにもかかわらず、多くの大学に就職を断られて追い詰められた女性が、43歳で自ら命を絶った。

 日本仏教を研究してきた西村玲(りょう)さんは、2016年2月に亡くなった。

 04年に博士(文学)に。05年、月額45万円の奨励金が支給される日本学術振興会の特別研究員に選ばれた。

 実家で両親と暮らしながら研究に打ち込み、成果をまとめた初の著書が評価されて、09年度に若手研究者が対象の賞を相次いで受賞。恩師は「ほとんど独壇場と言ってよい成果を続々と挙げていた」と振り返る。

 だが、特別研究員の任期は3年間。その後は経済的に苦しい日が続いた。

 衣食住は両親が頼り。研究費は非常勤講師やアルバイトでまかなった。研究職に就こうと20以上の大学に応募したが、返事はいつも「貴意に添えず」だった。読まれた形跡のない応募書類が返ってきたこともあった。

 安定した職がないまま、両親は老いていく。14年、苦境から抜け出そうと、ネットで知り合った男性との結婚を決めた。だが同居生活はすぐに破綻。自らを責めて心を病んだ。離婚届を提出したその日に自死した。

 父(81)は、「今日の大学が求めているのは知性ではなく、使いやすい労働力。玲はそのことを認識していた」と語る。

 90年代に国が進めた「大学院重点化」で、大学院生は急増した。ただ、大学教員のポストは増えず、文科系学問の研究者はとりわけ厳しい立場に置かれている。首都圏大学非常勤講師組合の幹部は「博士課程まで進んでしまうと、破滅の道。人材がドブに捨てられている」と語る。

朝日新聞デジタル 2019年04月10日 09時39分)
https://www.huffingtonpost.jp/entry/bunkei-kenkyu_jp_5cad3f34e4b0e833aa32f292

2016年に起きた或る学究の自死が今凄く熱いトピックになっている。勿論、自死に至った背景には「結婚」の破綻ということがあったわけだけど、冒頭で言及した九州大学での事件よりも、自分に突き刺さって痛いと感じる人は(自分も含めて)多いのではないか。これほどの才能や業績に恵まれた人でもうまくいかないのだから、才能においても業績においても遥かに劣る者が不平を言ったり、世間を恨んだりするのはそもそもお門違いだ、みたいな。このことについて冷静に判断できる人と自分に突き刺さって痛いと感じる人がいるのだと思う。少なからざる人が絶望するだろうと思うので、記事を掲載した朝日は何かしらのアフター・ケアをすべきだと思う。