無垢さの後

https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/2019/02/24/042326に対して、


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セックス・ピストルズをはじめ、パンク・ニューウェーヴ系は日本だと一部の物好きだけが聴いていた印象はありますね。私は年齢的にその手をよく聞いた洋楽ファンの一人なのですが(そういうのが流行ってると日本でも紹介されていた時期でしたから)、洋楽ファンの中の一部みたいなかんじでしょうか。
ピンク・フロイドは自分より年長の世代に熱心なファンが多かったように記憶しています。彼らがリアルタイムで体験したのでしょうね。キング・クリムゾンにくらべるとぼやーんとしたイメージを勝手に抱いています。
シド・バレットのソロを聞いたときは、ビーチボーイズのアルバム聞いた時と似た印象があって、ブライアン・ウィルソンですか、ああいう人ら特有の音があるんだなと。裏がないかんじ、でもそれは、たぶん、裏や内がまとまるほど凝縮できない病的な印象を伴っている、でも、その裏のなさがもたらすうつくしさがたしかにあるんですね。

1970年代に限定すれば、たしかに「セックス・ピストルズをはじめ、パンク・ニューウェーヴ系は日本だと一部の物好きだけが聴いていた」ということはいえると思います。というか、生粋の倫敦パンクということだと、先ず噂が広がって、やっと実体が見えたなと思ったら、直ぐに消えてしまったという感じでした。ただ、80年代に入ると、エルヴィス・コステロにせよU2にせよカルチャー・クラブにせよ、ヒット・チャート自体がニュー・ウェイヴ以降ということを前提にし始め、ニュー・ウェイヴ以前のミュージシャンは懐メロ扱いされかねなかったということがあります。因みに、1970年代は「洋楽ファン」が主流派で、日本のロックは「一部の物好きだけが聴いていた印象はあります」。
(私にとって)ピンク・フロイドの霧の箱根でのライヴ*1団塊の世代の文化的権威の象徴の一つです。箱根でピンク・フロイドが「原子心母」を演奏しているところをフィルム・コンサートで見たことがありますか、これを実際に生で観た奴は凄い! と思いました。現在この映像がDVDになっているのか、それとも何処かのウェブで見られるのかどうかはわかりません。
Atom Heart Mother

Atom Heart Mother

シド・バレットThe Madcap Laughsを初めて聴いたときは何だか突き抜けた感じがしましたね。こんなあっけらかんとした音楽があっていいの? 「裏がないかんじ」ということですが、ピンク・フロイドシド・バレットが去って、〈無垢〉を失ったと思います。ロジャー・ウォーターズを初めとするほかのメンバーが、〈無垢〉を失った後ろめたさや開き直りを込めたのが、アルバムWish You Were Here、特に”Shine on You Crazy Diamond”という曲。
帽子が笑う不気味に

帽子が笑う不気味に

炎?あなたがここにいてほしい?

炎?あなたがここにいてほしい?

ビーチ・ボーイズブライアン・ウィルソンについてはそれほど詳しくはないのですが、父親との病的な確執*2があったようです。これはルイス・シャイナーのSF小説『グリンプス』*3のエピソードのひとつを構成しているのですが、村上春樹が翻訳したジム・フジーリの『ペット・サウンズ』はまだ読んでいない(汗)。
グリンプス (創元SF文庫)

グリンプス (創元SF文庫)

ペット・サウンズ (新潮文庫)

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