「キエフの大門」を越えて

要するに、Eが消えてLPになったわけだ。

Kevin Rawlinson “Keith Emerson of Emerson, Lake and Palmer found dead aged 71” http://www.theguardian.com/music/2016/mar/11/keith-emerson-of-emerson-lake-and-palmer-dies-at-71
Nick DeRiso “Keith Emerson of Emerson Lake and Palmer Dies” http://ultimateclassicrock.com/keith-emerson-dies/
Progressive rock legend Emerson dies” http://www.bbc.com/news/entertainment-arts-35787187
Daniel Kreps “Keith Emerson, Emerson, Lake and Palmer Keyboardist, Dead at 71” http://www.rollingstone.com/music/news/keith-emerson-emerson-lake-and-palmer-keyboardist-dead-at-71-20160311


エマーソン・レイク&パーマー*1キース・エマーソン*2が現地時間3月10日、日本人のガールフレンドMari Kawaguchiさんと暮らすカリフォルニア州サンタ・モニカの自宅で亡くなった。享年71歳。さらにショックなのは、藝能ゴシップ専門サイトのTMZによると、彼の頭は拳銃の弾で貫かれており、警察は「自殺」と推定している。また、彼は右手の指2本が麻痺し、8本の指でしかキーボードを弾けなくなっていて、それと関連した「鬱状態(depression)」を抱え込んでいたという*3
エマーソン・レイク&パーマーを最初に聴いたのは、高校時代に友人から借りた『展覧会の絵』だっただろうか。それ以来、「プロムナード」のメロディは何度脳内で再生されたことか。キース・エマーソンがロックにおける鍵盤楽器の演奏に対して革命的ともいえるイノヴェーションを行ったということは多くの人が言及していることだろうし、上に挙げた記事でもそのことに触れないものはない。そのことを確認したのは、ELPとしてのデビュー直後の「ワイト島」*4での演奏をそのはるか後に(映画で)観たとき。これも含めて、キース・エマーソンというと、アグレッシヴな演奏というイメージが強いのだけど、Brain Salad Surgery(日本でのタイトルは『恐怖の頭脳改革』*5!)に収められた”Benny the Bouncer”のような軽みのある曲も好きだな*6。或いは、『トリロジー』に収められたアーロン・コープランドの”Hoedown”とか。正直言って、キース・エマーソンのピークというのは1970年代前半だったといえる。それは彼が、1970年代後半から1980年代にかけてパンクの勃興を契機として起こったロックの大変動を適切に乗り切ることができなかったということなのだけけれど、もう一方では、ELPというのはあくまでもキース・エマーソングレッグ・レイクカール・パーマーという3つの個性がスパークしたことによる〈奇跡〉だったということでもある。

Pictures at an Exhibition

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ワイト島1970~輝かしきロックの残像 [DVD]

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Brain Salad Surgery

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トリロジー(K2HD紙ジャケット仕様)

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1970年代、(ブリティッシュに限定すれば)ロックのキーボードといえば、キース・エマーソンジョン・ロード(ディープ・パープル)、リック・ウェイクマン(イエス)だったといえるだろう。勿論、私としては、ジョン・ポール・ジョーンズを付け加えたいのだけれど。たしか、ジョン・ロードBBCライヴで、自虐的にRick Emersonと自己紹介していたことがあった。その御三家のうち、ジョン・ロードは2012年に他界しており*7、残されたのはリック・ウェイクマンだけなのだった。
さて、私にとって、〈団塊の世代〉の文化的権威を支えているのは、箱根のピンク・フロイド、後楽園球場のグランド・ファンク・レイルロード、それからエマーソン・レイク&パーマーの日本公演というのがある。〈団塊〉が(例えば) 箱根のピンク・フロイドが、とか言い出したら、上の世代も下の世代も、ただただ拝聴するしかない。その中でも、エマーソン・レイク&パーマーの日本公演は都市伝説の如く尾鰭がついて語られていたな。キース・エマーソンが日本刀でシンセサイザーを真っ二つにぶった斬ったとか。実際は、鍵盤と鍵盤の間にナイフを突き刺しただけだったのだが。
最後に、巽孝之氏の『プログレッシヴ・ロックの哲学』をマークしておく。
プログレッシヴ・ロックの哲学 (Serie′aube′)

プログレッシヴ・ロックの哲学 (Serie′aube′)