板橋の「ハタボウル」など

最初に読んだのは4月8日付の『朝日新聞』の記事;


国会喚問後不明の男性を殺害容疑、死刑囚を逮捕へ

2017年4月8日10時55分

 死刑囚の供述に基づき、埼玉県内の山中から不動産会社社長の遺体が見つかった事件で、警視庁は近く、元暴力団組長の矢野治死刑囚(68)=別の事件で死刑判決が確定=を殺人容疑で逮捕する方針を固めた。確定死刑囚が逮捕されるのは異例。

 捜査関係者への取材でわかった。矢野死刑囚は1998年ごろ、顔見知りだった不動産会社社長の斎藤衛さん(当時49)を殺害した疑いがある。「斎藤さんの首を絞めて殺害し、知人に遺体を遺棄するよう頼んだ」とする内容の文書を警視庁に送りつけていた。

 組織犯罪対策4課は昨年11月、遺棄に関わった矢野死刑囚の知人らの証言を得て、埼玉県ときがわ町の山中で、白骨化した斎藤さんの遺体を発見した。死体遺棄罪は時効が成立している。斎藤さんは参院議員が詐欺罪で有罪判決を受けた「オレンジ共済組合事件」をめぐり、97年に国会の証人喚問を受けた後、98年4月ごろから行方不明になっていた。
(後略)
http://www.asahi.com/articles/ASK4835XCK48UTIL008.html

そして、『毎日新聞』;

<埼玉・男性遺体>殺害告白の死刑囚、異例の逮捕へ 警視庁

毎日新聞 4/8(土) 11:45配信


 ◇殺人容疑で前橋の4人射殺で死刑判決確定の元組長を

 2003年に前橋市のスナックで4人を射殺した罪などで死刑判決が確定した元暴力団組長、矢野治死刑囚(68)が殺害を告白した男性の遺体が見つかった事件で、警視庁組織犯罪対策4課が殺人容疑で矢野死刑囚を逮捕する方針を固めたことが捜査関係者への取材で分かった。確定死刑囚を逮捕するのは極めて異例。

 捜査関係者によると、矢野死刑囚は1998年4月ごろ、東京都内で不動産会社を経営していた斎藤衛(まもる)さん(失踪時49歳)を殺害した疑いが持たれている。

 矢野死刑囚は死刑確定から半年後の14年9月、「金銭トラブルから斎藤さんの首を絞めて殺害し、知人の男に遺体を捨てさせた」などと告白する上申書を警視庁に提出した。週刊誌にも同様の文書を送り、昨年2月に報じられた。

 同課は昨年11月、上申書の内容や矢野死刑囚らの供述に基づいて埼玉県ときがわ町の山林を捜索し、白骨化した遺体の一部を発見。DNA型鑑定で斎藤さんと特定した。

 捜査関係者によると、矢野死刑囚は任意の事情聴取に徐々に非協力的になった。さらに、斎藤さんを監禁したとされる東京都豊島区の組事務所は既に取り壊されるなど証拠が乏しく、全容解明には逮捕する必要があると判断した。

 斎藤さんは、参院議員らが逮捕された「オレンジ共済組合」の詐欺事件に絡む政界工作疑惑で97年に国会に証人喚問された。98年4月に豊島区で商談をした後に消息を絶った。

 矢野死刑囚は96年8月に行方不明になった神奈川県伊勢原市の不動産業、津川静夫さん(失踪時60歳)の殺害についても、警視庁に上申書を提出した。同課は昨年4月、同市の山林から津川さんの遺体を発見した。

 死刑判決を受けた被告の殺人容疑での逮捕を巡っては、水戸市宇都宮市で男女2人を殺害したとして1、2審で死刑判決を受け上告中だった後藤良次死刑囚が05年、別の殺人事件3件への関与を告白する上申書を茨城県警に提出。うち1件について殺人容疑で逮捕した例があるが、確定死刑囚の逮捕は異例という。【黒川晋史、五十嵐朋子】
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170408-00000051-mai-soci

昨年4月の『朝日新聞』の記事(『ハフィントン・ポスト』);

「20年前、別の殺人に関与していた」 死刑囚が文書で告白
朝日新聞デジタル
投稿日: 2016年04月18日 10時18分 JST 更新: 2016年04月18日 10時18分 JST


死刑囚が文書「20年前、別の殺人に関与」 遺体捜索へ

前橋市のスナック銃乱射事件で死刑判決が確定した男が、20年前に別の殺人事件に関与したとする文書を警視庁に送っていたことが、捜査関係者への取材で分かった。警視庁は男らの説明に基づき、遺体を埋めたとされる神奈川県伊勢原市内の山中を今週中にも捜索する方針を固めた。

文書を送ったのは、指定暴力団住吉会系の組長だった矢野治死刑囚(67)。前橋市のスナックで2003年1月に4人が殺害された銃乱射事件で、実行犯に犯行を指示した殺人罪などに問われ、14年3月の上告棄却により死刑判決が確定した。

捜査関係者などによると、矢野死刑囚は東京都新宿区で不動産業を営んでいた男性を1996年に殺害した事件に関わったとする文書を昨年、渋谷署に送付。男性と不動産関係のトラブルがあった別の暴力団関係者(故人)から依頼を受け、男性の殺害や遺体の遺棄を指示した、とする内容だったという。

この文書に基づき、警視庁は矢野死刑囚らから事情を聴取。矢野死刑囚の知人で、遺体を遺棄したとされる男が遺棄の具体的な場所を説明したという。説明通り遺体が見つかった場合、殺人事件として立件できるかどうかを慎重に検討するという。

矢野死刑囚は目白署にも別の殺人事件を告白する文書を送付。友部達夫・元参院議員(12年死去)が詐欺罪で有罪判決を受けた「オレンジ共済組合事件」に絡み、国会の証人喚問を受けた不動産会社経営の男性の殺害に関わったとする内容という。

朝日新聞デジタル 2016年4月18日03時01分)
http://www.huffingtonpost.jp/2016/04/17/body-cases_n_9716956.html

前橋のスナックでの客射殺事件も「オレンジ共済組合」事件*1友部達夫という政治家*2もすっかり記憶の表面から遠ざかっていた。矢野治が警視庁に送ったという文書は週刊新潮が入手して報道していたが、ウェブ上にはその一部が残っているだけのようだけど*3、『来栖宥子★午後のアダージォ』というblog*4 がその『週刊新潮』の記事を完全に貼り付けていたのだった*5。読んでみて、事件のトポスに懐かしさを覚えてしまった。矢野は斎藤衛を板橋の「ハタボウル」というボウリング場の喫茶店に呼び出してから拉致してしまうのだが、「ハタボウル」というのは大学時代から何度か行ったことがある。池袋駅前からバスに乗って、途中で千早町の中核派本部(前進社=千早城)の前を通過して、なんじゃこりゃ! と吃驚しているうちに到着するという感じだったと思う。当然、その喫茶店に入ったことはある。まあ、既に千早町に中核派はいないのだけど。何故矢野治は斎藤衛を殺ったのか。口を封じろという政治的意志が働いたという陰謀理論的な展開を期待していたのだが、実際は金銭的トラブルと仁義への背馳というきわめてやくざ的なロジックによって斎藤衛は殺された。
友部達夫の意を享けた斎藤衛が政界に金をばらまいていたというのは、新進党内の比例順位を上げるための工作だったので、結局、贈賄にも公職選挙法違反(買収)にもならなかった。新進党といえば、小沢一郎のみならず小池百合子も所属していた。序でに言うと、あの野村沙知代*6も。さて、最近元新進党小池百合子が「都民ファーストの会」を立ち上げているけど、その「都民ファーストの会」は一部では「新・新進党」と呼ばれているのだった*7。こういう時期に、20年前の新進党絡みの事件のひとつの帰結が再び脚光を浴びるというのも、面白い偶然だ。
矢野治が斎藤殺しを告白した動機には斎藤衛の霊の祟りへの恐怖があった。一般的に、殺人事件の自首や自供の動機では、このような霊的動機はどのくらい占めているのだろうか。