クリスマスを避けて

朝日新聞』の記事;


8年連続の死刑執行、法相は理由語らず 一家四人殺害
12/26(木) 20:24配信朝日新聞デジタル


 法務省は26日、福岡市東区で2003年に一家4人を殺害したとして強盗殺人罪で死刑が確定した中国籍の元専門学校生、魏巍(ウェイウェイ)死刑囚(40)の死刑を福岡拘置所で執行した。今年の執行は8月の男2人に続き、3人目。森雅子法相就任後の執行は初めてとなる。

 森氏は会見で執行命令書には23日に署名したと明かした上で、「死刑判決は裁判所が慎重な審理を経て言い渡したもので、法の定めに従い慎重かつ厳正に対処すべきだ」と説明。年末のこの時期になったことや執行対象を決めた理由については「答えを差し控える」と繰り返した。

 確定判決によると、魏死刑囚は、同じ中国籍の元留学生2人と共謀して03年6月20日未明、福岡市で衣料品販売を営む松本真二郎さん(当時41)方に侵入し、入浴中の妻千加さん(同40)、就寝中の長男海君(同11)と長女ひなさん(同8)の首を絞めて殺害。帰宅してきた真二郎さんの首も絞めたうえ、3人の遺体とともに博多港の岸壁から遺棄して真二郎さんを水死させ、現金約3万7千円などを奪った。一、二審で死刑判決を言い渡され、11年10月に最高裁が上告を棄却し確定した。

 共犯とされる元留学生の楊寧(ヤンニン)元死刑囚と王亮(ワンリアン)受刑者は中国の裁判所でそれぞれ死刑と無期懲役の判決が言い渡され、楊元死刑囚は05年に死刑が執行された。

 法務省によると、今回の執行により、未執行の確定死刑囚は112人となった。このうち84人は再審を請求中。刑事訴訟法は死刑判決の確定から6カ月以内に執行するよう定めている。同省は以前は再審請求中の死刑囚などの執行を避ける傾向があったが、近年は再審請求中でも執行する例も目立つ。

 18年7月には再審請求中の人も含むオウム真理教の元幹部ら13人が一気に執行され*1、弁護士の一部には一時、「事実上のモラトリアム(停止)に入る」との観測もあった。だがその後も執行は続いており、12年から8年連続となった。第2次安倍内閣の発足以降の執行は今回で17回目、計39人となる。
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20191226-00000045-asahi-soci

こういう事件があったことを忘れかけていた。
魏巍は「再審請求中」だったわけではないよね? 記事の後半で「近年は再審請求中でも執行する例も目立つ」と言っているのだから、そのことについての言及があって然るべきだったと思う。
ところで、死刑制度反対派を揶揄するコメントも散見されるのだが、死刑反対派は死刑という制度そのものに異議を唱えているので、事件の凶悪性とは関係ない。そこんところを勘違いした死刑反対派への批判は愚民どもの煽動以外の効果はないだろう。私としては、魏巍への死刑執行は、事件の凶悪性に鑑み、現在の法制度上妥当なことであると承認しつつも、賛成であるとは言えない。ところで、24日と25日、クリスマスを避けたということは人間を吊るすことに対する疚しさがあったということか。