小鴉、さへも

朝日新聞』の記事;


パン食べて? カラス50羽死ぬ 東京・城北公園

2017年3月24日20時17分


 24日午後3時25分ごろ、東京都練馬区板橋区にまたがる都立城北中央公園の管理事務所から、「カラスが大量に死んでいる」と110番通報があった。公園内で、50羽ほどのカラスが直径約40メートルの範囲にわたって死んでいた。警視庁は鳥獣保護法違反などの疑いで捜査を始めた。

 練馬署によると、カラスが死んでいたのは公園の南東部。同日午後3時ごろ、犬の散歩をしていた女性から「パンを食べたカラスが死んでいくのを見た」と事務所に連絡があった。事務所の職員が大量のカラスの死骸を見つけ、袋に入れて回収した。衰弱したカラスもいたという。

 署は、鳥インフルエンザの可能性はないとしており、死亡した原因を調べる。
http://www.asahi.com/articles/ASK3S6G9XK3SUTIL051.html

「パン」の滓は回収できたのだろうか。まあ解剖すれば「死亡した原因」は直ぐにわかるだろう。
烏が群れで行動する場面を直接見たことがない。だから、半径20米の範囲に50羽も烏が集まっているということに吃驚した。でも、烏が群れを成すというのはノーマルなことであり、また50羽くらいでは大群とは言わないようなのだ。

カラスは季節限定で群れを組みます。
一羽でもじゅうぶん賢く怖いものなしのようなカラスにはたして群れは必要なのでしょうか?
私が調べたところ科学的な証明はまだされていないようですが、次のようなことが考えられるといわれています。

一つは群れをつくることで眼を多くする。
敵を見つけるのにもエサを探すにも多くの眼があれば発見する確率が高くなるということです。
特に、エサが少なくなる秋後半から冬を越す時期にかけては群れていた方がエサを発見しやすく、一羽が敵を発見した時にも警戒音を出すことで群れ全体で対応することができるので効率が良いようです。

もう一つは、繁殖期前に群れておくことでパートナーを見つけやすいということだそうです。
カラスの群れは数百羽から千羽ほどの集団だそうです。
出会いが多くなり春に向けてパートナー探しをしているのではないかと思われるそうです。
(後略)
http://toyatoku.com/karasu/kigi531.html

また、これは〈地震雲〉等と同様なトンデモに属するのだけれど、ネットをぶらつくと、烏の群れの出現を地震の前兆に結びつけた言説が見つかる*1。「都立城北中央公園」で烏が死んで、その直後に地震は起こらなかったのだろうか*2。「カラス」に関する近代的な疑似科学につい耳を傾けてしまうのは、それ以前からある烏を巡る俗信と関係があるのかも知れない。例えば、

昔っから、死者との深いつながりがあるとみなされ
カラスの鳴く夜は死者が出るとか…実際 我が家のばぁちゃんの体験談によれば
昔 ばぁちゃんがお葬式の手伝いに行った帰り、夜も8時はまわって
家路を急いで…とあるお宅の近くを通った時に嫌にカラスが鳴くなぁ〜と
あまりに異様な鳴き声に、家に帰ってそんな話を私にしてくれた翌日
そこの家の老人が亡くなった…という話。

ちなみに不幸がある家の者には、その鳴き声は聞こえないらしいんだよねぇ。
(「カラスが群れる時」http://blog.goo.ne.jp/pochikopochikojp/e/3b16673a6c5119a1b3f8f718048eefbe

ところで、ヒッチコックの映画『鳥』に登場するのは鷗。
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*1:See eg. 「カラスの大群、地震に注意?」http://blog.goo.ne.jp/hanabira-kai/e/e35346ead838e8c7efcffbe45309e009 Meg「全国でカラスの大群が(写真あり)◆カラスの異常行動に関するツィート多し◆災害の前触れ?」http://ameblo.jp/mhyatt/entry-11160176575.html

*2:まあ、マグニチュードの小さい地震なら日本全国でほぼ毎日起きているのだが。