鉛を食べる鷲たち

今井尚「この冬もオオワシたちは苦しまなければならないの?」http://www.huffingtonpost.jp/sho-imai/eagle-poisoning_b_8887240.html


曰く、


冬の北海道でオオワシなどの猛禽類が、鉛中毒で死ぬ例が後を絶たない。原因は狩猟に使われる鉛弾だとわかったのは、もう15年以上も前のこと。少しずつ規制が強められているが、その被害は今もなくならない。

オオワシたちが鉛中毒になる原因は、狩猟に使われる鉛弾だ。オオワシが撃たれるわけではない。鉛の弾で撃たれて死んだエゾシカの肉を食べ、いっしょに鉛の弾を飲み込むことで鉛中毒になる。

北海道釧路市環境省釧路湿原野生生物保護センターには昨シーズンも鉛中毒症状を起こしたオオワシなどの猛禽類が運び込まれていた。

2015年4月9日には札幌市内でオジロワシの鉛中毒が発生。呼吸困難を訴えながら同日死んだ。その前、2月9日に発見されたオオワシも必死の治療活動が行われたが、翌日死に至った。胃の中から見つかったのは鉛製の銃弾だった。

治療に当たる獣医師の齊藤慶輔さんは「またか」と、なくならない鉛中毒死に悩む。

急性鉛中毒で運ばれるオオワシオジロワシの多くは、呼吸困難を起こし、くちばしを広げてもがく。時折奇声を発し、羽毛には緑色の下痢が付着していることも多い。高濃度鉛中毒と診断されると自然回復は見込めない。治療をしても死に至るケースも多いという。

昨シーズン(2014年―15年)同センターで確認された鉛中毒はオオワシで2羽、オジロワシが2羽だった。オオワシのうちの1羽が死体で収容され、残り3羽が収容後12時間以内に死んだ。このほかクマタカ1羽で高濃度鉛汚染が確認され、治療により野生復帰した。

この記事の後半でも言及されているように、「銅」という代替品が出ているとはいえ、いまだに銃弾に「鉛」が使われているんだ! いやはや。とっとと禁止しろ。
「鉛中毒」については、例えば


Wikipedia https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%89%9B%E4%B8%AD%E6%AF%92
「鉛中毒(プラムビズム)」http://merckmanual.jp/mmpej/sec21/ch326/ch326j.html


をマークしておく。
そういえば、私よりも上の世代の人は、けっこう鉛を体内に蓄積してしまっているのではないか、と思った。私が子どもの頃、自動車のガソリンはまだ無鉛ではなかったし、ペンキとかにも鉛は使われていた筈。また、水道管に鉛が使われていたのは何時頃までだったか。


中国児童300人が鉛中毒、原因は「鉛筆かむ癖」?高官発言に非難(中国)
2014年08月16日 13時54分05秒 | 健康づくり


 中国・湖南(Hunan)省の村で、子ども300人余りの血中鉛濃度が基準値を大幅に上回っていることが判明した。その原因は子どもたちが鉛筆の芯をかむことだと地元政府高官が発言し、国営メディアやインターネットユーザーたちから非難の集中砲火を浴びている。

 国営新華社(Xinhua)通信によると、中国中部・湖南省の大浦鎮でこのほど、子どもたちの血中鉛濃度が国の基準値を最大で3倍以上超えていることが分かった。地元の化学工場から排出された汚染物質が原因とみられ、この工場は捜査のため一時閉鎖されたという。

 ところが、この問題について地元行政府トップの蘇根林(Su Genlin)氏は、中国中央テレビ(China Central Television、CCTV)に「子どもたちは学校で鉛筆を使っている。鉛筆をかむことも、血中の鉛濃度を上げている一因ではないか」と述べた。

 この発言を受け、中国共産党の機関紙・人民日報(People's Daily)は16日、「鉛筆が(鉛ではなく炭素鉱物の)黒鉛から作られていることは、科学的な常識だ」と蘇氏の発言を一蹴する社説を掲載。「この高官の発言は、無知をさらけ出しているのか、それとも人民の健康を軽視したものか」とこき下ろした。

 中国のネット上でも、蘇氏を冷笑するユーザーが相次いだ。マイクロブログの「新浪微博(Sina Weibo)」には、「こんなにも知能指数の低い共産党幹部が、よくも公衆の面前に出られたものだ」と皮肉るコメントが投稿された。(AFP 2014年6月16日)

http://www.afpbb.com/articles/-/3017868

「鉛」と「黒鉛」。こういうトンでも発言が成立してしまう一因として、漢字の作用もあるんじゃないかと、一瞬思ったのだけど、よく考えてみれば、英語でもblack leadといい、「黒鉛」というのはそれを直訳したものだったのだ。日本語でも中国語でも、英語のgraphiteに対応する語として、石墨というのもある。こちらの方が誤解も少なくて好ましいと思うのだが、何故「黒鉛」ほど広くは使われないのだろうか。
最近、「六価クロム」を思い出してしまった序に*1、「鉛」問題も思い出してしまった。