鈴木正崇『山岳信仰』

山岳信仰 - 日本文化の根底を探る (中公新書)

山岳信仰 - 日本文化の根底を探る (中公新書)

先週鈴木正崇氏の『山岳信仰*1を読了。


まえがき


序章 山岳信仰とは何か
第一章 出羽三山――死と再生のコスモロジー
第二章 大峯山――修験道の揺籃の地
第三章 英彦山――西日本の山岳信仰の拠点
第四章 富士山――日本人の心のふるさと
第五章 立山――天空の浄土の盛衰
第六章 恐山――死者の魂の行方
第七章 木曽御嶽山――神がかりによる救済
第八章 石鎚山――修行から講へ


あとがき――体験知との出会い
参考文献

序章では、日本における「山岳信仰」の展開――古来の「山岳信仰」、仏教の介入、平安時代から鎌倉時代にかけての修験道の成立と、近世における修験道主導による山岳信仰の大衆化、明治時代の神仏分離による修験道の解体――が概説され、その後の章では、山岳信仰の拠点、つまり日本の代表的な霊山が各章毎に叙述されるという構成になっている。本書は実質的には修験道入門(或いは概説書)ということになるだろう。何故なら、古来様々な仕方で存在した山岳への信仰が仏教、特に密教の世界観に包摂されつつ体系化されたときには修験道という表現を取ったからである。また、現在の神道もしくは仏教ということになっている山岳信仰平安時代から江戸時代に至る修験道の遺産抜きには存立することも了解することも不可能だからだ。本書は、修験道についての入門的な書物として、例えば和歌森太郎*2『山伏』、宮家準*3修験道』などに続くものだといえる。なお、鈴木氏は宮家準先生の門下。しかし、登山家として「日本山岳会」会員だということは知らなかった。
修験道 (講談社学術文庫)

修験道 (講談社学術文庫)