意識不明

いやはや。
『スポーツ報知』の記事;


アイドルの冨田真由さん刺され重体、警察に相談していた
2016年5月21日23時40分 スポーツ報知


 21日午後5時すぎ、東京都小金井市のライブハウスが入る建物の敷地内で、アイドル活動をしている冨田真由さん(20)が、男に刃物で首や胸などを刺された。冨田さんは病院に運ばれたが20か所以上を刺されており、意識不明の重体。警視庁小金井署は傷害の疑いで住所、職業不詳、自称岩埼友宏容疑者(27)を現行犯逮捕した。

 警視庁によると、冨田さんは武蔵野市在住で都内の私立大に通学。今月9〜19日に、岩埼容疑者の名前を挙げて、「ブログやツイッターに執拗(しつよう)に書き込みをしている」という内容の相談を武蔵野署にしていた。19日の相談で同署は冨田さんから21日にイベントがあることを伝えられ、会場を管轄する小金井署に「110番があったら応じるように」と依頼していた。警視庁は対応に問題がなかったか調査する。

 小金井署によると、岩埼容疑者は「刺したのは間違いない」と容疑を認めている。冨田さんのファンだったとみられ、同署が経緯を調べている。

 冨田さんは現場の建物でこの日、開催されるイベントに出演予定だった。地下1階のライブハウスにつながる階段の入り口付近で刺されたとみられ、傷は首や胸のほか、背中や両腕などにもあった。

 目撃者が「男が刃物で女性の首を刺している。女性が倒れている」と110番。小金井署員が駆け付けると、現場に血の付いた折りたたみ式ナイフがあり、近くにいた岩埼容疑者が「これで刺した」と認めた。

 現場はJR武蔵小金井駅の南西約300メートルで、市役所やマンションが立ち並ぶ一角。
http://www.hochi.co.jp/topics/20160521-OHT1T50195.html

また、『毎日新聞』の記事;


アイドル刺傷
一方的に好意示す…書き込みエスカレート

毎日新聞2016年5月22日 00時01分(最終更新 5月22日 07時22分)


 アイドルとして活動していた大学生が、ライブ会場近くで「ファン」の男に襲われた。刃物で刺された東京都武蔵野市冨田真由さん(20)は意識不明の重体。男は、短文投稿サイト「ツイッター」で冨田さんへの一方的なメッセージを何度も送り、攻撃性をエスカレートさせていたとみられる。突然の事件に、ファンはショックを隠せない。

 ツイッターには、傷害容疑で現行犯逮捕された住所・職業不詳の自称・岩埼友宏容疑者(27)のものとみられる今年1月18日からの書き込みが残っていた。冨田さんに対し、連日のようにメッセージを送っていた。

 冨田さんのファンによると、冨田さんは今年2月のファンとの交流会で「前回のライブ後に男の人につきまとわれて個人情報を聞かれた。怖い」と話していたという。

 最初のものとみられる書き込みは、冨田さんのライブの感想とみられ、「楽しい時間をありがとー」「腕時計をプレゼントする意味を知っていますか? 大切に使ってくださいね」とあった。

 その後、書き込みは「好きになってもらえるように頑張ります!」などと好意を表す一方、「『腕時計』捨てたり売ったりするくらいなら返して。それは僕の『心』だ」などと要求。冨田さんから返信がないことにいらだっている様子で、「ファンを大事にしない人間なんだね」「もっと見下しばかにしてみろよ」などと表現がエスカレートしていった。

 「死にたい」「死ねないから仕方なく生きてる。なんも楽しくない」などの書き込みも繰り返し、4月28日には「そのうち(自分は)死ぬから安心してね」とのメッセージを送っていた。

 冨田さんから「執拗(しつよう)に書き込みがされている」との相談を受けた警視庁は、これらの書き込みが岩埼容疑者によるものとみられることを把握していた。

 警視庁は相談への対応に問題がなかったかを調べるとともに、事件に至った経緯を捜査している。【藤田剛】
http://mainichi.jp/articles/20160522/k00/00m/040/083000c


アイドル刺傷
「何でも一生懸命」…冨田さん

毎日新聞2016年5月22日 00時03分(最終更新 5月22日 07時26分)

 21日午後5時5分ごろ、東京都小金井市本町6の雑居ビルで、武蔵野市の私立大学生、冨田真由さん(20)が男に刃物で首や胸を刺された。冨田さんは病院に運ばれたが、意識不明の重体。警視庁小金井署は住所、職業不詳の自称・岩埼友宏容疑者(27)を傷害容疑で現行犯逮捕した。同署などによると、冨田さんはアイドル・芸能活動をしていた。岩埼容疑者はファンだったとの情報があり、同庁が確認している。

 冨田さんのファンによると、冨田さんは東京都内の私立大学に通いながらアイドルとして活動し、最近はシンガー・ソングライターとしても活動していた。事件現場になった東京都小金井市のライブハウスのほか、港区や横浜市など数カ所で毎月2〜3回ライブを行っていた。

 事件当日の21日もギターの弾き語りをする予定だったという。同日午後にブログを更新し「夜ライブだから、もう帰るよ」「今日のライブ、19:00スタートです。出番は21:00〜になります」と書き込み、自身が出演するイベントの告知をしていた*1

 冨田さんの舞台での活動などを支援していた芸能事務所代表によると、2年ほど前に事務所がプロデュースした舞台に冨田さんが出演したのをきっかけに活動を支えるようになった。事務所のホームページによると、冨田さんは長野県出身。趣味はスノーボードや音楽鑑賞、映画鑑賞など。子供向けのテレビドラマや舞台などで活動していることが紹介されている。

 代表によると、冨田さんは2週間ほど前、「シンガー・ソングライターとしてフリーで活動していきたい」と伝えてきたという。代表は「その矢先にこんなことが起きて信じられない。何にでも一生懸命で頑張り屋さんだった」と肩を落とした。

 冨田さんは、ライブ終了後にファンと交流することもあったといい、4年前からのファンという30代の会社員男性は「とてもフレンドリーで音楽活動や芝居を頑張っていた。信じたくない」と声を震わせた。【深津誠、小林洋子】
http://mainichi.jp/articles/20160522/k00/00m/040/084000c

痛ましい話。付き纏われるとかは「アイドル」に限らず〈名の‐有る‐人〉つまりセレブの宿命だということも可能かも知れない。しかし、ナイフで刺されて意識不明になってしまったら、シャレにも何にもならない。どうしてこんなことが起きたのかは、アイドルだのセレブだのファンだのといった一般的な事項に還元するのではなく、やはり「自称岩埼友宏」という特異なライフ・ヒストリーを背負った男*2のこれまでの人生に索めるしかないだろう。もっとも、ごくごく一般的な準位に関していえば、かなり以前に書いた以下のようなことが今回も当て嵌まるだろうか;

(前略)私たちの振る舞いには特定の対象に向けられたものと不特定の対象に向けられたものがある。例えば、私信は前者であり、blogへのエントリーなど公刊されるものは後者といえる。ただ、実際のところ、その区分は曖昧。だから、振る舞った者の意図というか意味づけとその振る舞いを知覚してしまった者の解釈とが食い違ってしまうということも日常茶飯事としてあるのだろう。

俗にストーカーといわれることの或るものはこの意図の取り違えに発していると思われる。特に藝能人(スポーツ選手や作家も含む)や政治家や医療関係者やセックス・ワーカーがストーカーされるという場合。藝能人や政治家の場合、愛想を振りまいても、それはファン一般とか有権者一般に対してであって、特定のあなたに向けられたものではない。また、医療関係者やセックス・ワーカーはたしかにあなた個人に関わる。しかし、その時、あなたはクライアントという一般者の中のひとりに過ぎない。それをほかでもないあなた自身に向けられたものだと、あなたが解釈(誤解)したときが、ストーカーという出来事の発端となるのであろう。(後略)
http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20070125/1169693531 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20090525/1243222973

また、福島章『ストーカーの心理学』もマークしておく。
ストーカーの心理学 (PHP新書)

ストーカーの心理学 (PHP新書)

See also http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20140317/1395031114

*1:「とぅでい!」http://ameblo.jp/mayu-tomita-blog/entry-12162589782.html 彼女は東京事変やイエロー・モンキーが好きなんだね。

*2:誰にとっても、ライフ・ヒストリーは特異なものでしかあり得ない。