「母親」の証言

承前*1

朝日新聞』の記事;


「歌まで奪われたくない…」 小金井刺傷、被害者明かす

根津弥

2017年2月20日22時46分

 東京都小金井市で昨年5月、音楽活動をしていた冨田真由さん(21)がファンの男に刺され重傷を負った事件で、殺人未遂などの罪に問われた群馬県伊勢崎市の無職岩埼(いわざき)友宏被告(28)の裁判員裁判が20日、東京地裁立川支部で始まり、被告は起訴内容を認めた。検察側は、「日常生活が完全に変わってしまった。刑務所から出てきたら殺しに来るのではと不安」などとする冨田さんの調書の内容を読み上げた。


 被告の起訴内容は、昨年5月21日に市内のライブハウス近くの路上で、冨田さんの首などをナイフで何度も刺し、殺害しようとしたというもの。検察側は冒頭陳述で、昨年1月のライブ後に被告が冨田さんに腕時計などを渡したが送り返されたため、怒りや屈辱を感じ、ナイフを購入したと計画性を主張。一方の弁護側は、「事件当日、被害者に話しかけたが無視され、衝動的に刺した」と、突発的な事件だと反論した。

 冨田さんの調書によると、昨年1月のライブ以降、「拉致監禁されないといいのだけど」などと被告がインターネットに書き込みをするようになった。5月に警視庁武蔵野署に相談したが、様子を見るように指示されたという。

 事件後、冨田さんは顔などに傷痕が残り、視野が狭くなった。口の傷で食事や会話がしづらいが、「歌まで奪われたくないのでリハビリを続けている」と明かした。出廷した精神科医は「付き添いがないと外に出られず、電車や夜の外出は難しい。現時点でいつ治るとは言えない」と証言した。

 この日は冨田さんの証人尋問が午後から予定されていたが、取りやめになった。代理人弁護士によると、冨田さんは被告から見えないようにしたうえで、一部の審理に出廷したという。(根津弥)
http://www.asahi.com/articles/ASK2N465HK2NUTIL016.html


小金井刺傷、被害者の母が証言「心も傷だらけに」

根津弥

2017年2月21日17時36分

 東京都小金井市で昨年5月、音楽活動をしていた冨田真由さん(21)がファンの男に刺され重傷を負った事件で、殺人未遂などの罪に問われた群馬県伊勢崎市の無職岩埼(いわざき)友宏被告(28)の裁判員裁判が21日、東京地裁立川支部であった。冨田さんの母親が出廷し、「娘は犯人の身勝手な行動で、心も体も傷だらけにされた」と語った。

 事件後、冨田さんは手術を繰り返した。昨年12月の手術の後、「傷の痛みがひどくてずっと泣いていた」と証言。傷痕を目立たなくする手術を今後も予定しているが、「『こんな傷だらけになっちゃって』といつも言っている」と話した。

 冨田さんは事件後、心的外傷後ストレス障害(PTSD)と診断された。家での様子について、「『助けて』と叫んだり泣いたりすることがある。前はそんなことしなかったのに物を投げ、『真由は頭おかしくなっちゃったね』と泣いている」と明かした。「外で体格のいい男性がいると、私の後ろに隠れたり、しがみついたりする」とも語った。マヒしている口のリハビリについて「治したいと一生懸命やっているが『全然治らないじゃん』と泣いたり、イライラしたりしている」と涙声で述べた。

 冨田さんは審理の一部で出廷している。母親は「裁判前日も泣いて眠れず、私にしがみついていた。本当はつらく、姿も見せたくないけど、どうにか頑張ってここに来ています」と証言。「泣かない日はないけど、生きているからこそ苦しみもあるんだと言い聞かせている。娘にはどうにか立ち直ってほしい。犯人は許せない」と話した。

 22日には、被告人質問や冨田さんの意見陳述などが予定されている。(根津弥)
http://www.asahi.com/articles/ASK2P4W4FK2PUTIL03F.html

安易なコメントを拒むような何かがある。歌い手としては、歌えなくなるんじゃないかという不安や恐怖は特に切実なものなのではないだろうか。逆に言えば、「口のリハビリ」が上手くいけば、精神状態はかなり改善されるのではないか。