12月2日?

ISISが設定した1月29日の日没というリミット*1は疾うに過ぎている。
そのリミットは後藤健二氏の奥様に直接言い渡されている;


“A statement from the wife of Kenji Goto” https://rorypecktrust.org/rpt-live/January-2015/Urgent-plea-from-wife-of-Kenji-Goto
「後藤さん妻メッセージか「最後通告受けた」「これが最後のチャンス」」http://withnews.jp/article/f0150130000qq000000000000000G0010301qq000011467A
「「イスラム国」人質:帰り待つ妻…夫と操縦士のために祈り」http://mainichi.jp/select/news/20150130k0000m040178000c.html


これは彼女(Rinkoさん)の初めての公的発言である。ISIS側から公表するよう要求されたリミットに関するメッセージのほか、彼女が事件に巻き込まれた経緯などを含んでいる。
英語版から少し引用する;


I became aware that Kenji was in trouble on 2 December when I received an email from the group holding Kenji. 


On 20 January I saw the video demand for $200m for the lives of Haruna Yukawa and Kenji. Since then, there have been several emails between the group and me as I have fought to save his life.

これによると、彼女がISIS側からのメイルを受け取ったのは2014年12月2日。ただ、『週刊ポスト』によると、「後藤氏の妻の携帯電話に約10億円の身代金を要求するメールがあったのは昨年11月初旬だった」*2。これは言い間違いということだろうか。

I thank the Governments of Jordan and Japan for all their efforts. I thank the people of Jordan and Japan for their compassion. My family was based in Jordan when I was young, and I went to school in Amman until I was 12 years old, so I have great affection and fond memories of Jordan and its people. 

ヨルダンのアンマン育ち。


東京新聞』の記事;

「2億ドル支援」首相演説 英訳版 誤解招く?

2015年1月29日 朝刊

 過激派組織「イスラム国」対策として、訪問先のエジプトで二億ドル(約二百三十五億円)の人道支援を表明した安倍晋三首相の演説をめぐり、政府作成の英訳版に軍事支援と誤解されかねない表現があると、野党議員が二十八日の参院本会議の各党代表質問で指摘した。首相は「忠実な形で訳されている」と否定したが、専門家からも疑問の声が出ている。

 「(英訳版は)日本が戦争に加担するととらえることができ、ISIL(イスラム国)に口実を与えてしまった可能性がある」

 質問したのは日本を元気にする会の松田公太代表。首相は「指摘は当たらない。読んでもらえばよく分かる」と反論した。

 首相の演説は十七日、日本語で行われ、二億ドル支援に関して「ISILの脅威を少しでも食い止めるためだ。人材開発、インフラ支援を含め、ISILと闘う各国に支援を約束する」と述べた。英語版は日本語の原文とともに、首相官邸と外務省のホームページに掲載された。

 松田氏は英訳版を読み上げ「(日本語に)訳すとISILと闘う国の戦闘基盤を構築するための支援になってしまう。日本人が人質になっていると知っていた政府としては、配慮がなさすぎる」と述べた。

 英訳版では、ほかにも「食い止める」の部分を「拘束」「抑制」を意味する「curb」という言葉で表現するなど、日本語より強めの印象がある。「イスラム国」とみられるグループも当初、日本の支援は軍事目的だと主張していた。

 早稲田大大学院の春名幹男客員教授(国際報道論)は「英訳版は軍事目的を完全に否定していないように見える。人道支援だと明確に打ち出すべきだった」と指摘する。 (上野実輝彦)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2015012902000149.html

たしかに、ISISが最初の脅迫メッセージを公開したとき、日本政府が直接的軍事援助を行うかのような主張をしていた。しかし、この記事はダメ記事だと思う。和英対照表を掲げなければ、松田公太氏の主張と安倍晋三の弁明のどっちが妥当なのかを読者が判断することができない。

*1:Suleiman al-Khalidi and Linda Sieg “Japan checking purported message on new deadline set by IS” http://www.thestar.com.my/News/World/2015/01/29/New-video-of-Islamic-State-captive-Goto-despicable-says-Japan-PM/ Mentioned in http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20150129/1422500611

*2:「外務省関係者 後藤健二氏めぐりISと解放交渉を行なっていた」http://www.news-postseven.com/archives/20150126_299833.html Cited in http://d.hatena.ne.jp/kojitaken/20150129/1422486461