焼け太り?

承前*1

『読売』の記事;


内閣支持上昇58%、人質対応を評価…読売調査
2015年02月07日 22時06分


 読売新聞社は6〜7日、全国世論調査を実施した。

 安倍内閣の支持率は58%で、前回調査(1月9〜11日)の53%から5ポイント上昇した。不支持率は34%(前回38%)だった。

 イスラム過激派組織「イスラム国」による日本人人質事件を巡る政府の対応が「適切だった」と思う人は55%で、「そうは思わない」の32%を上回った。イスラム国対策として中東諸国への人道支援をさらに拡充するという安倍首相の方針についても「賛成」が63%で、「反対」は26%にとどまった。人質事件への対応が評価されたことが、内閣支持率を押し上げたとみられる。

 安倍首相が今夏に発表する予定の戦後70年の首相談話で、これまでの首相談話にあった、過去の植民地支配や侵略に対する反省やおわびについての表現を「使うべきだ」と答えた人は44%で、「そうは思わない」の34%を上回った。
http://www.yomiuri.co.jp/politics/20150207-OYT1T50099.html

これって、焼け太りということ? 「日本人人質事件を巡る政府の対応」を「適切」か否かで答えるのは難しい。湯川氏と後藤氏がISISに囚われた昨年の段階での無策・失策は脇に置いて、1月の脅迫ヴィデオ公開以降の「政府の対応」についていえば、それを全面的に駄目だったと否定する気にはなれない。安倍晋三以外の人が政権を担っていたとしても、ほかにどれほどの選択肢があったのか。問題は、焼け太りを羞じるかどうかという品位の有無、或いは火事場泥棒をするような手癖の悪さの有無ということになるだろう。話を戻せば、「政府の対応」を巡っては、(例えば)100点満点でのレイティングで答えてもらえば面白かっただろう。
「戦後70年の首相談話」。今上天皇の「年頭所感」を読んだときは*2、「これで安倍晋三も8月にあまり滅多なことは言えなくなるという歯止めにはなるのだろうか」と思ったのだが*3、民草がこのざまじゃ、どうなるのかね。
また、

危険地域のテロ被害「責任は本人にある」83%
2015年02月07日 22時09分


 読売新聞社の全国世論調査で、政府が渡航しないように注意を呼びかけている海外の危険な地域に行って、テロや事件に巻き込まれた場合、「最終的な責任は本人にある」とする意見についてどう思うかを聞いたところ、「その通りだ」が83%に上り、「そうは思わない」の11%を大きく上回った。

 「その通りだ」とした人は、イスラム過激派組織「イスラム国」による日本人人質事件を巡る政府の対応を「適切だ」とした人の90%に達し、適切だとは思わない人でも73%を占めた。支持政党別にみても、自民支持層の88%、民主支持層の81%、無党派層の79%が「その通りだ」としており、「最終的には自己責任」の考え方が、広く浸透している。

 一方、海外で日本人がテロの標的となる可能性が「高まった」と思う人は81%を占め、「そうは思わない」は14%だった。
http://www.yomiuri.co.jp/politics/20150207-OYT1T50100.html

こう訊かれたら、「最終的な責任は本人にある」と答えざるを得ないかも知れない。何しろ、生死の自己責任性というのは、誰も私の代わりに私の死を死ぬことはできないという事実に依っているからだ。だからといって、助けなくていい、見捨てていい、本人や家族をバッシングしていいということにはならない。つまり、話は全く別なのだ。
湯川・後藤氏への身代金を払えというISISの恫喝が発覚したときに、「結果によっては、日本人は或る種の覚悟を決めなければいけないということになるだろう」と書いた。しかし、「覚悟の前提としての、議論を尽くしての或る種の(或る程度の)コンセンサスの達成」が必要であるが、それには「ほど遠い」として、その議論の叩き台として、ブレイディみかこ氏の「英国が身代金を払わない理由。」*4をリファーしておいたのだが*5、「自己責任」という石打ちで死者を痛めつけることには熱心でも、そうした議論には移行しないんだね。