- 作者: 大岡昇平
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 1990/12
- メディア: 文庫
- クリック: 5回
- この商品を含むブログを見る
大岡昇平の『幼年』*1の、昔渋谷の道玄坂で「狭山茶」が栽培されていたという記述を読んで驚いたことは既に記した*2。
「三田用水」の「三田」は慶応大学がある港区の三田ではなく、目黒区の三田。目黒区の三田については、丸谷才一「目黒三田論」(in 『月とスッポン』)*4も参照されたい。
(前略)今日の松濤町一帯は、もと紀州藩の下屋敷だったが、明治五年鍋島藩が払い下げを受けて、大々的に狭山茶を栽培した。その時富ヶ谷の三田用水(下北沢で玉川上水より取水、東北沢、駒場、代官山を経て、目黒、二本榎*3に至る。目黒川、渋谷側の灌漑用水であるが、やがてエビスビール、目黒の海軍火薬廠に給水したので水は豊富であった)から水を引いて、茶を育てた。「松濤園」はその茶園の名で、後東海道線開通によって、静岡茶、宇治茶が大量に東京に供給されるまでは、東京の銘茶の一つであった。(p.188)
- 作者: 丸谷才一
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2011/08/04
- メディア: 文庫
- クリック: 1回
- この商品を含むブログ (15件) を見る
*1:See http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20140728/1406517429
*2:http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20140723/1406086214
*3:See eg. http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BA%8C%E6%9C%AC%E6%A6%8E%E3%81%AE%E7%A2%91
*4:Mentioned in http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20130712/1373644661 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20131024/1382624831