「徐福」(メモ)

コリアの不思議世界―朝鮮文化史27話 (平凡社新書)

コリアの不思議世界―朝鮮文化史27話 (平凡社新書)

野崎充彦『コリアの不思議世界 朝鮮文化史27話』を10年前に読んだことを長らく忘れていた。でもここで叙述された「コリア」は(タイトル通りの)トンデモで且つ豊饒な「不思議世界」である。勿論それは、中華文明、ツングース世界、日本を含む東亜細亜という広い文脈の中に位置づけられた「不思議」なのではあるけど。
さて、ここでメモしておきたいのは、「コリア」ならぬ日本に関すること。
第1話「コリアン・ユートピアの系譜」では先ず徐福*1が語られる。徐福のいう「三神山」つまり「蓬莱」、「方丈」、「瀛州」は何処にあるのか。「三神山」=日本説の最初は五代後周の義楚の『義楚六帖』(960年頃)である(p.10)。「蓬莱」=「霊峰富士」。「徐福渡日説」の始まり。徐福が熊野に定住したという説の始まりは無学禅師とされる(pp.10-11)。江戸時代の「徐福渡日説」の文献として挙げられているのは、林羅山『本朝神社考』(巻四)、寺島良安『和漢三才図絵』、井沢蟠龍『広益俗説弁』。寺島良安は徐福定着地として、富士と紀州のほかに尾張の熱田を加えている。井沢蟠龍は「蓬莱」候補地として、さらに加賀の白山、摂津の住吉、安藝の厳島を挙げている(p.11)。また滝沢馬琴椿説弓張月』では、「女護島」の女は徐福が連れてきた「童女」の末裔という設定になっている(ibid.)。
朝鮮における「三神山」伝承。「徐福渡日説」と「三神山」=朝鮮説の並存(pp.12-13)。朝鮮的「ユートピア」としての「青鶴洞伝説」(pp.13-14)*2。「朝鮮王朝後期のユートピア思想」としての「十勝地信仰」(pp.15-17)。