- 作者: 角岡伸彦
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2010/04/24
- メディア: 文庫
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角岡伸彦『ホルモン奉行』に曰く、
これを呼んで、なるほどと思うと同時に?も浮かんだ。俺にとって「ホルモン」は「牛や豚の腸のみ」というほど狭くはないが、「タン」や「テール」を含むほど広くもない。まあ、センマイやハツを含む「内臓全般」といったところか。
関東では牛や豚の腸のみをホルモンというが、関西では内臓全般、さらには頭部や足やスジも含めてホルモンと称する。つまり、ロースやヘレなどの正肉*1以外のすべてを指す。本書ではタン(舌)からテール(尾)まで、より幅広くとらえ、関西風にホルモンという呼称を採用した。(p.14)
ところで、「ホルモン」と呼ばれるようになったのは比較的最近で、もともとは「ナカノモン」(中のもの)と呼ばれていたらしい*2。「ホルモン」という言い方が普及したのは「焼肉屋」ができ始めて以降の話であると(pp.25-26)。また、「ホルモン」=〈ほうるもん〉という語源を信じていたのだが、これは在日韓国人・朝鮮人の間の民間語源説であるらしい。著者が引用しているのは、野間宏、安岡章太郎編『差別 その根源を問う 下』の中の金時鐘氏の発言;
さらに、「ホルモン」=「掘りもの」という語源説(柳尚熙『食べて知る韓国』)もあるという(p.23)。因みにほうるが放置することではなく投げる・捨てるという意味の大阪弁だと知った契機は小学校時代のTVの野球中継か。その頃、解説者たちは〈球を投げる〉ではなく〈球をほうる〉と言っていた。
いわゆるホルモン料理。これは決して英語じゃなくて、大阪弁の「ほってしまうもの」、つまり捨ててしまうものの大阪弁である「ホルモン」が定着した”朝鮮人語”なんですよ。屠殺場で捨てられる内臓、頭などを、飯場住まいの同胞たちがもらい受けて食していたものです。(pp.22-23に引用)
- 作者: 野間宏,安岡章太郎
- 出版社/メーカー: 朝日新聞社出版局
- 発売日: 1984/01
- メディア: 単行本
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