承前*1
今福龍太*2「山口昌男の歩み 今福龍太さんが選ぶ本」http://book.asahi.com/reviews/column/2013032400002.html
曰く、
「中心と周縁」「トリックスター」「両義性」といった、一九七○年代の学問・思想界の固有の文脈のなかで山口によって人口に膾炙(かいしゃ)することになった理論的概念を、過剰に意識する必要はもはやないだろう。そうした戦略概念だけが通俗的に理解されたまま独り歩きしたために、山口人類学のより本質的な方法論や独創性がかえって見えなくなってしまった嫌いもあるからである。
今福氏が採り上げているのは『本の神話学』のほか、『道化の民俗学』と『学問の春』。
なによりもまず、山口の著作は私たちにとっての一つの刺戟的(しげきてき)な「知の発見法」としてある。厳格に構築された気難しい「学問」を、より自由で俊敏な「知」の軽快な運動へと解放する彼の発見法のエッセンスは、『山口昌男著作集』の第一巻「知」に収録されている代表作「本の神話学」において余すところなく語られている。本は思考のためのたんなる「資料」や「文献」ではない。書物とのあいだにまず情動的・身体的な関係をうちたて、書物のなかに宿された躍動的な「生命」を受けとめ、そこから日常的な知性のはたらきを自前の感受性によって組織化してゆくことこそ重要だ。
「本の神話学」で取りあげられる精神史、亡命、政治と芸能、蒐集(しゅうしゅう)と物語といった主題は、すべてこの発見法的な知の実践へのじつにユニークないざないである。そこには、学問が惰性的に寄りかかる「専門」という強迫観念はない。学問制度のなかで形式的に囲い込まれただけの「専門」なる概念が、知の全面的な展開にとっていかに不自由な足かせになっているかを、それはじつに見事に暴き出してくれる。
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さて、
有村悠「愛国者、反韓デモに涙する女子中学生を拉致ってマワせと叫ぶ」http://lunaticprophet.org/archives/14371
嗚呼、「愛国先生」*5が吼えている! このところの在特会の悪行に鑑みると*6、「愛国」というのは既に教養ある紳士(淑女)が人前で口にしてはならない卑猥語の類になってしまっているな。「愛国」という言葉を愛する〈愛愛国者〉の方々にとって、事態は相当やっかいだ。今やならずものと訓ずべき〈愛国者〉というのはちゃんと躾けられていない若い衆が多いのかと思っていたのだが、そうでもないらしい。レイプを煽り、「キングofレイシスト」を自称する「ガルーダ」というオヤジ*7は50過ぎ。俺とほぼ同世代だ! そのblogを走り読みしてみると、病気などで苦労しているようなのだが、どのような経緯で邪路に嵌ってしまったのか。興味深い。因みに(Political Compass*8でいうと)経済的には真ん中よりも左。
また
宮武嶺「極右の人種差別やヘイトスピーチ・ヘイトクライム(憎悪表現・憎悪犯罪)で東京オリンピック招致は失敗する」http://blog.goo.ne.jp/raymiyatake/e/64186cc20ecf3e3eaa1da3f5b5f1cd48
も。
*1:http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20130311/1362963510 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20130313/1363141131
*2:See also http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20101105/1288980247 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20101106/1289067340 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20101112/1289563918
*3:See also http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20070320/1174383864 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20070422/1177229571 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20070612/1181612322 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20070705/1183661994 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20070820/1187624219 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20080715/1216139452 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20080910/1221017660 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20081207/1228590174 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20090623/1245762377 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20090625/1245935580 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20101126/1290795234 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20110308/1299514074 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20110603/1307072747 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20110829/1314543718 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20110913/1315843750 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20120113/1326458395
*4:http://book.asahi.com/reviews/column/2013032900001.html
*5:See also http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20091101/1257048962 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20091129/1259488849 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20091130/1259552962 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20100620/1277018454 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20101104/1288838129
*6:See eg. http://d.hatena.ne.jp/vanacoral/20130209 http://blog.goo.ne.jp/konotawake/e/4e08cffb562508f453a18eb42dcd0a4f Also http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20130304/1362329353 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20130325/1364181903
*7:http://blog.livedoor.jp/muramasa1961/
*8:http://www.politicalcompass.org/ See also http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20070314/1173867684 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20130214/1360779561