承前*1
宮武嶺*2「大阪府市統合本部の無能がまた露呈 特別顧問堺屋太一氏提案の大阪10大名物のトンデモぶり!」http://blog.goo.ne.jp/raymiyatake/e/3a2ed6eb15b0b6fbc1f1caa0ac4be282
「大阪府市統合本部特別顧問」である堺屋太一が発表した「大阪10大名物」。歳を取ったせいか、発想がかなり単調になっている嫌いはあるものの、その大風呂敷ぶりはまだまだ衰えないな。道頓堀を人工プールにするというのには思わず笑ってしまった。橋下徹が堺屋太一と組んだことの意味を、私はあまり重視していなかったのだが、これは間違いであった。橋下の暴言というのはネガティヴなものばかりだが、ポジティヴな方は堺屋が補完しているのではないか。反橋下な人がこれを嘲笑するだけならばあまり希望はないといえるだろう。橋下=堺屋のはトンデモな構想力だというのは取り敢えず正論であるとはいえる。しかし、プラス1とマイナス10を比べてみれば、10の方が絶対値において1に勝っているのだ。橋下=堺屋に対抗して、大阪の新名所作りを提案するとはいっても、私は大阪に対しては門外漢なので、天王寺動物園*3で「橋下徹」を購入するとか、大阪府下にある応神天皇陵よりも大きな橋下徹陵を造営するとかくらいしか言えない*4。
そもそも名所(或いは名物)が成立するのはそもそも歴史的その他の偶発性に左右されてのことだ。行政が上から何かを作れば自動的に名所になるわけではまったくない。元通産官僚だから仕方がないのだろうけど、堺屋太一の発想ってかなり社会主義的だなと思った。観光客を誘致するために変な神様をでっち上げてしまった中国の安徽省の発想に近いものがある*5。
ところで、堺屋プランの中に「近鉄阿倍野タワー」とか「うめきた」というのが出てくるけれど、関西在住の方々はともかくとして、関東や九州にお住まいの方で、どれほどの方がリアルなイメージを持っているのだろうか。東京中心主義といわれればそれまでだが、これは堺屋氏自身が「大阪は定期観光バスも走らなければ「日本の顔」として国際カレンダーに載る名所もなくなった」と述べていることの例証なのだろうか。大阪イメージの稀薄化についていえば、ここ数年、大阪といえば橋下徹の顔が連合してしまうという状況になっていることも、(勿論全てではないが)理由のひとつだといえるのではないか。さて、大阪という街のトポスを表現したものとしては(橋下にdisられた)文楽に及くものはないだろう。例えば(近松門左衛門作の)『曽根崎心中』とか『心中天網島』とか。
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*1:http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20111112/1321120673 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20111128/1322443153 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20111201/1322750851 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20111204/1323005896 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20111209/1323448020
*2:See also http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20110910/1315671133
*3:http://www.jazga.or.jp/tennoji/